男性記者が初めての眉毛サロンに挑戦してみた
1968年に男性用オーダーメイド・ウィッグ専門店として創業、2023年には55周年を迎えたアデランスが2020年からスタートした“眉毛事業”が好調だ。同社が展開する眉毛専門店「ビューステージ アイブロウサロン」は、現在61店舗を展開、当初は女性がメインターゲットだったが、現在では男性の利用比率も上昇しているという。他社による眉毛サロン展開も増加するなか、同社ならではの強みをどこに見出しているのか──。実際に記者が利用してレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
最大の武器は“カウンセリング力”
「ビューステージ アイブロウサロン」の個室(渋谷店)
幼少期から自分なりに試行錯誤を重ね、“しっくりくる”髪型を模索する毛髪に比べ、眉毛は自分に似合っているかどうかを考える機会が少ない。そうしたなかで、潜在的な悩みを捉えた同社は、2020年から「ビューステージ アイブロウサロン」を全国展開すると、当初は全体の1割ほどだった男性利用客が今は3割に迫るほど、広く利用層を拡大している。「美眉」需要に気づいた他社による参入も激化するなか、同社ならではの強みは、長年培ってきた「カウンセリング力」だという。CSR広報室の中原梢さんが語る。
「もともと弊社は、毛髪に関するお悩みを伺う事業がベースにあるので、店舗は全室個室です。眉をどうしたいかというお話も、個室で伺います。カーテンを隔てるだけの状況だと、なかなか本心は言えないものですし、男性も入りづらいものですから」(中原さん)
カウンセリングの時間自体も長い。アイブロウ室長・岸富士雄さんは「お客様の“どうしたいか”“どうなりたいか”を大切にする、髪のカウンセリングのノウハウを眉にも活かす」と話す。
「たとえば髪の場合でも、全体のボリュームを増やしたいのか、あるいは今ある髪を育てたいのか。ウィッグがいいのか、植毛なのか、育毛なのかなど、本当に理想はお一人おひとり、千差万別です。理想をしっかり汲み取りつつ、その方がその髪で生活をすることも考えながら、じっくりとお話を伺います。眉に関するお悩みを聞く時も、姿勢は同じです」(岸さん)
とはいえ増える男性客は、“理想の眉”を把握していないことも多い。そうした「お任せ」客にこそ、同社が培ってきた力は発揮されるという。
「男性は、SNSなどで見るきれいな眉毛と自分の眉毛を比べたりして、何らか“整えたい”という思いをもっていらっしゃるのですが、具体的にどういった眉が自分に合っているかまではわからず、“お任せ”とか、“自分に似合うもの”など、漠然としたご要望が女性よりも多いです。そうした時も、スタッフが少しずついろいろなお話を伺うなかで、その方へのおすすめの眉をご提案していきます」(同)
同社では、眉の「型」となるプレートやイラストは特に用意していない。あくまでも一人ひとりの眉に向き合うためだという。

