都心部へのアクセスが良く、昔ながらの商店街や住宅も多い「城東エリア」(写真:イメージマート)
東京都心部の歴史的な地価上昇が続いている。とりわけマンション価格の上昇が注目を集めており、11月20日の不動産経済研究所の発表によれば、10月に東京23区で販売された新築マンション1戸あたりの平均価格は1億5000万円を超えた。そうしたなか、東京23区内の住まい探しをめぐってこれまでと違った傾向も出てきているという。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏(オラガ総研代表)が人気の高まる「城東エリア」について解説する。
不動産業界では、皇居(江戸城)を中心に23区を東西南北に分類する考え方が定着している。世田谷区、杉並区、中野区などの「城西エリア」が高級住宅地を抱える“山の手”と呼ばれるのに対し、「城東エリア」は江東区、墨田区、台東区、やや北寄りの足立区などで、昔ながらの商店街や住宅が並ぶ「下町」と区分される。牧野氏が言う。
「お城の東側に位置する墨田区、江東区といったエリアは歴史的に見ても完全な下町です。埋め立てで拡大してきた江東区、台東区、墨田区、荒川区、足立区は下町に分類される代表的な地域と言えるでしょう。江戸時代には、江戸城近辺から西の武蔵野台地に向かって土地が切り拓かれ、そこに旗本や藩士が多く住みました。特に大名屋敷があったような地域は地盤が強固なところが多い。麻布(港区)などが代表格ですが、今でも非常に評価が高いし地価も高い。
そういった城西の地域は一般庶民が手軽に買えないので、好むと好まざると江戸城東の低地に暮らすようになった。その低地において河川などで運ばれてくる物資で商いをするようになり、町が栄えて下町と呼ばれるようになったわけです」
