実際に、その証拠があります。国や企業が財政破綻して債券が債務不履行になった場合に備えたソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という保険商品があります。このCDSの保証料率から倒産確率が計算されますが、トラスショックの時は英国のインフレ率は10%を超えて過熱しているところに大幅減税政策を打ち出したことから、英国国債のCDSデフォルト確率は0.7%台へとハネ上がりました。
しかし、日本国債のCDSに基づくデフォルト確率は0.3%台で安定しています。市場が日本の財政リスクがそこまで高まったとは見ていない証拠です。日本のCDSが上昇していれば、高市政権の財政出動が国債の信用低下を招いてトリプル安になったと私も認めますが、そうはなっていません。
今回の補正予算でトリプル安になることはいったん回避できました。ただし、だからといって今後もそのリスクがないわけではないでしょう。今後も高市政権が財政規律を保ったまま運営ができればトリプル安は避けられますが、それができなければ、危うくなる可能性もあります。
政府の経済財政諮問会議の民間議員に任ぜられた以上は、そうした危機を招くことがないよう関わっていく立場でもあると自任しています。