2人の政治家はプロジェクトにどう関わっていたのか(「ゲートウェイ成田」完成イメージ図。ホームページより)
不動産投資商品「みんなで大家さん」のトラブルが佳境を迎えている。1500億円以上を集めた成田空港近くの一大プロジェクトの開発用地は使用が不可能に。共生バンクグループが進めてきた「ゲートウェイ成田」構想の地元・成田市議会の12月定例議会には、かつてないほど新聞やテレビの記者が殺到した。
この開発には数々の疑惑がありながら強引に進められてきたものであることが浮かび上がるが、関わった政治家は直撃にどう答えるか。ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。【前後編の後編】
バナナ園を任された市議
成田市と成田空港の協力を得た共生バンクグループ代表の柳瀬健一(59)は、ここからさらに歩みを進める。先に書いたように12月30日、地元の不動産業者Aから開発のタネ地となる用地の一部を買収。ゴルフ場開発業者が地上げしたが開発の目途が立たず、地元不動産業者Aが譲り受けていたところだ。地元の事情通が打ち明ける。
「ここはA社の手に負えず8億円で売りに出されていました。それを、上田(信博)市議の仲介により5000万円上乗せした8億5000万円で共生バンクが買ったのです。差額がどこへ行ったのか不明ですが……」
成田市長の小泉と市議の上田は、まさに成田プロジェクトのキーパーソンといえる。小泉は成田市議から転じて2007年1月に市長に就任し、上田は日本航空(JAL)の社員から1995年4月に市議となり、市議会議長まで務めた地元の実力者である。二人とも共生バンク社内でも有名人だ。
「小泉市長と上田市議は、ニコイチで動いてきた感があり、柳瀬とも親しい。とくに上田市議はJAL出身ということもあり、空港関係者にもパイプがあります。それで柳瀬がほれ込んでしまった。上田市議に成田プロジェクトのそばでバナナ園を任せたほどです。そこはもともと、さつまいも畑だったのですが、柳瀬がバナナ園に切り替えた。柳瀬は『上田先生、これは100億円、200億円の事業になるよ』といって事業を任せていました」(グループ関係者)
