お金への備え方が夫婦の老後生活を大きく左右する(イメージ)
2人で過ごせる時間はあとどれくらいあるのだろう──。人生後半戦に突入すると、夫婦にいつ“万一”が起きるか分からない。これから10年、夫婦のどちらに何があってもいいよう、何をどう準備しておくべきか。健康、人間関係など様々な備えが必要だが、お金から目を背けることはできない。夫婦で最後の10年を憂いなく生ききるお金の選択を探った。
医療費は別で確保、施設と墓代も試算
夫婦の老後生活を大きく左右するのが、「お金」への備え方だ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が語る。
「まずは“最も大きな財産”である自宅の価値を調べることから始めましょう。たとえば将来的に介護施設に入居する際も、持ち家の価格が分かっていると売却や入居費用の計算が立てやすい。
大体の価格は不動産業者を訪れなくても調べられます。近隣の住宅相場や路線価などの公示価格を調べて大まかな目安を掴めば十分です」
同時に夫婦で墓や葬儀費用も調べておく。
「墓は樹木葬、葬儀は家族葬や直葬にすればお金は多くかかりません。自分の葬儀やお墓をどうしたいか、どれだけのお金がかかるのかを夫婦で確認しておくことです。その費用は棚卸しした資産からプールしておきます」(同前)
残り10年でかかる医療費も資産とは別に確保しておく。
「原則窓口1割負担と高額療養費制度の恩恵があり、最後の10年の医療費はひとり100万円あれば十分です。夫婦で考える場合、ひとり×2倍の200万円ではなく、1.5倍の150万円でいい。医療費控除といった制度もあり、大体それくらい用意しておけばいいでしょう」(同前)
無駄な支出を減らすことも欠かせない。真っ先に見直したいのが保険だ。
「夫婦の医療費を確保してあれば、医療保険は基本的に解約しても問題ない。ただし、先進医療を受けたいならがん保険だけは残すなど絞りましょう。また、死亡保険は子供が自立していれば解約の対象ですが、配偶者にお金を残すといった目的で保有しておいてもいい。新たに加入する必要はありません。
大切なのは配偶者が倒れた際に保険金をスムーズに受け取るために手続きの確認をしておくことです」(同前)
問い合わせ先など手続きの内容を紙に残しておくと安心できる。銀行口座もまとめておくべきだと深野氏。
「夫婦で複数の口座を持っている場合は、それぞれ1つずつに絞りましょう。入出金を管理しやすくなりますし、万一どちらかが亡くなった際に口座凍結を解除する手間が減ります」
