肉は冷凍することで繊維が壊れ、柔らかくなる一方、肉汁が流出しやすくなる。その結果、加熱時にパサつき、硬くなってしまう。
「肉ピタソースは肉にピタッとくっつくソースで肉汁を逃がさないソースなので、パサつきがちな鶏むね肉でもしっとりジューシーに仕上がります。解凍せずにジューシーに焼けるという技術は弊社の特許技術になっており、他社ではまねできない商品になっていると自負しております」
パッケージにも工夫を凝らした。「何ができる商品なのか」「他と何が違うのか」を直感的に伝えるため、社員やテスト販売時のバイヤー、消費者の声を反映しながら改良を重ねたという。
発売後の反響は上々だ。2025年3月に発売後、2025年11月時点で累計出荷個数は45万袋以上。購入者は共働き・子育て世帯が中心で、「帰宅後すぐに調理できるおかずが冷凍庫にある安心感」というだけでなく、「子どもが鶏むね肉をおいしく食べてくれた」「大容量パックを無駄なく使えて節約になる」といった評価の声からは、単なる時短商品ではなく、家計管理にも貢献している点が支持につながっていることがうかがえる。
他社も追随するなか、家庭に浸透へ
正田醤油、理研ビタミン以外にも、大塚食品は「メインディップ」という、肉の下味冷凍の素を展開。解凍が必要という違いはあるものの、ハニーマスタード、バルサミコ、あめ色玉ねぎといったソースを揃え、アレンジメニューを公式サイトで提案するなど、使いこなしの幅を広げている。
完成品でもなく、単なる調味料でもない「下味冷凍」というカテゴリー。忙しさと節約志向という現代の食卓が抱える課題に応え、冷凍庫に“仕込んである安心”。そんな新しい価値が、これからのおうちごはんを支えていきそうだ。