東大教授は「教養があって文化資本が高い生徒が欲しい」
一方で、大学側は9月30日の説明会で「平均的な学生は求めていない」ともコメントをした。説明会に参加して感じたことだが、これは大学が積極的に伝えたいことのように見えた。
この「平均的な学生は求めていない」という言葉を聞いて思い出したのは、東大が学校推薦型選抜を開始した頃の、ある東大教授によるSNS投稿だ。その教授は「教養があって文化資本が高い生徒が欲しいんだ」と呟いていた。
東大の一般選抜に合格するためには、本を読んで教養を身につけるよりは、塾に通って学力を高めることを優先しなくてはいけない。ゆえに、学力は高いが教養や文化資本は物足りない学生もいるだろう。そうした状況は、その教授からすると嘆かわしいことなのかもしれない。
そういった考え方が影響しているのか、東大の学校推薦型選抜も最初のうちはユニークなバックボーンを持つ学生や個性的な学生を合格させていた印象だ。カレッジ・オブ・デザインも最初のうちは「平均的ではない学生」を積極的に合格させていく可能性はあろう。
ある中堅高校の関係者はいう。
「学校推薦型選抜はほとんど難関校の生徒しか受からなくなっていますが、新学部ならうちでも通る可能性があると信じたい。一般選抜で東大の合格者が出せない高校からしたら夢がある」
今回は東大の新学部「カレッジ・オブ・デザイン」の入試について言及した。次回はこの「カレッジ・オブ・デザイン」の入試の行方を考えるために、既存の東大の学校推薦型選抜について分析していきたい。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。