人類に迫られる新たな選択
海外の識者からは、X上で「AI時代に差がつくのは判断力を手放さないかどうか」「再訓練と政策投資でパワーシフトをコントロールできる」「準備次第で失業リスクを最小限に抑え、恩恵を広く共有可能」といった指摘が続いている。ある人は「AIは道具。人間がどう使うかがすべてだ」と言い、別の人は「教育改革を今すぐ議論せよ」と訴える。こうした声は、AIのもたらす未来が絶望一辺倒ではない可能性を示唆している。
巨額投資と技術の加速は避けられないかもしれないが、それが必ず悪夢に直結するわけではない。不確実な分岐点に立っている今こそ、個人・企業・社会がどう備えるかが、2030年の姿を決める鍵となる。失業を恐れるだけでなく、AIを味方につける方法を探ること。教育をアップデートし、誰もが適応できる社会システムを築くこと。それらが、暗いシナリオを回避し、恩恵を最大化する唯一の道ではないか。
データセンターの唸り音は、単なる恐怖の予兆ではなく、人類が新たな選択を迫られている証なのかもしれない。恐怖に震えるか、それとも覚悟を決めて歩み出すか。その答えは、私たち一人ひとりが握っている。
【プロフィール】
小倉健一(おぐら・けんいち)/イトモス研究所所長。1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立して現職。