東京23区のマンションは庶民にとって“高嶺の花”なのか?(イメージ)
将来的にも資産価値が下がりにくい中古マンションの条件とは何か。『住む資産形成 資産価格重視で後悔しないマンションの選び方』(KADOKAWA)の著者で、不動産仲介会社KIZUNA FACTORYの代表取締役である稲垣慶州氏は、「駅から徒歩10分圏内で70平米前後の3LDKのブランドマンション」を条件として挙げる。
都心部では70平米で2億3000万円超も
ただ、東京23区のマンションは高騰している。その理由を稲垣氏が解説してくれた。
「現在、新築マンションの建築にかかる費用は、インフレ、円安による建築資材の高騰で坪単価500万円くらいが標準になっています。そこに共用部・専有部の費用が各戸に割り戻されるので、ハイグレードなマンションになると坪650万円くらいになります。さらに土地代とデベロッパーの利益が上乗せされると、都心部などでは坪1000万円、70平米で2億1000万円を超えてきます。それだけコストがかかっているので、それより安い値段では売れないのです」(以下、「」内コメントは稲垣氏)
マンション高騰の流れはこの先どうなっていくのだろうか。
バブルというよりも格差の拡大
「こうなると、港区や中央区などの都心部でないと建てられないし、売れません。すでに完成しているマンションのなかには土地価格が安かった時代に用地を取得した物件もありますが、これから用地取得して建てる物件は高額にならざるを得ず、2030年以降に建つマンションはとんでもない価格になるでしょう。購入層を想定して建設計画を進めるデベロッパーの側からすれば、これから新築マンションが建てられるのは、高額物件を購入できる高世帯年収が住むエリアに限られるようになるはずです。つまり、都心部のマンション高騰は“バブル”ではなく“格差”が広がっているだけなのです」
東京都心部のマンション高騰は“バブル”ではなく“格差”が広がっているだけという(LIFULL HOME’S調べ)
不動産バブルで高騰しているわけではないため、インフレが続く限り新築マンション価格はまだまだ上がり続け、新築に引っ張られて中古も値上がりしていくという見方だ。
「たとえば、坪単価1000万円の新築マンションの近くに、築年数の浅い“似たような”物件で、これまでの売買が坪500万円という中古マンション売りに出された場合、売値が『坪500万円』のままということはありえません。『中古マンションの価格が新築マンションに引きずられて上がる』とは、そういうことなのです」
これから先、マンション価格が値上がりしていけば、購入できる人はさらに限られてくるだろう。そうしたなかで「住みやすく」「なるべく資産価値の下がりにくい」エリアをどう探していけばいいのか。稲垣氏が、世田谷区の場合について関連記事『《世田谷区・中古マンション「資産価値が上昇期待の地区/期待できない地区」》人気先行の「三軒茶屋」「駒沢」に疑問符 交通利便性・価格・資産性に優れた街とその条件とは 不動産仲介のプロが徹底検証』で詳しく解説している。
【プロフィール】
稲垣慶州(いながき・よしくに)/(株)KIZUNA FACTORY(キズナファクトリー)代表取締役。レオパレス21で建築営業を経験した後、27歳で賃貸不動産会社を創業して取締役に。2014年に33歳で独立し、KIZUNA FACTORYを創業。売買仲介とマンション買取リノベーション再販を行なう。通算3000組以上の接客経験を活かし、不動産業界の透明化を目指す。YouTubeチャンネル「東京不動産大学」を運営するほか、X等でも情報発信をしている。
YouTubeチャンネル「東京不動産大学」:https://www.youtube.com/@inagaki_kizuna
公式X:https://x.com/inagaki_kizuna
取材・文/清水典之

