韓国はどう進化しているのか(イラスト/井川泰年)
日経平均が最高値を更新する一方で、韓国の総合株価指数(KOSPI)も46年ぶりに高値を更新している。韓国の現状について、経営コンサルタントの大前研一氏は「社会全体が国際化した印象だ」と分析する。韓国で何が起きているのか? 大前氏が解説する。
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韓国総合株価指数(KOSPI)が1月22日、46年ぶりに取引時間中に一時5000を突破した。昨年6月の李在明大統領就任時から倍増したことになる。
李大統領は「日本は敵性国家」「歴史を反省していない」「(福島原発の処理水放出は)第二の太平洋戦争だ」と発言するなど反日の左派政治家として知られていたが、靖国神社に参拝していた保守派の高市早苗氏が首相になったにもかかわらず、日韓関係はむしろ前任者の時代より好転している。
たとえば、韓国の通信社「聯合ニュース」によると、世論調査機関「韓国ギャラップ」が1月16日に発表した韓国の周辺主要4か国(日本、中国、アメリカ、ロシア)の首脳に対する好感度は、日本の高市早苗首相が22%で最も高く、中国の習近平国家主席は21%、アメリカのトランプ大統領は19%、ロシアのプーチン大統領は6%だった。
高市首相は1月13日、地元・奈良で李大統領と首脳会談を行ない、経済、北朝鮮の拉致問題、国境を越えた組織的犯罪、安全保障などの各分野で日韓が戦略的に協力するとともに今後も「シャトル外交」を継続していくことで一致。さらに両首脳が韓国の人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」の曲をドラムセッションで披露して親密さをアピールしたことが功を奏したようである。
李大統領に対する私の評価は、ここにきて一変した。先述したように、以前は反日の左派政治家だったわけだが、大統領就任後は予想に反して今のところ日本にまろやかで、外交空間でもうまく立ち回っている。
本来なら、李大統領は昨年11月の高市首相の台湾有事をめぐる「存立危機事態」答弁を槍玉に挙げた中国と歩調を合わせて日本を批判するはずだが、この問題に踏み込まなかった。
また、訪日に先立つ中国訪問時には習主席から「歴史の正しい側に立ち、正しい戦略的選択をするように」と日本批判を要請されながら、「我々にとって日本との関係は中国との関係と同じくらい重要だ」と答えたという。実に現実的でしたたかなバランス外交を展開していると思う。
韓国の変化は政治・外交だけではない。私はこれまでに仕事で韓国を200回以上訪れているが、新型コロナ禍でご無沙汰し、2024年10月、久しぶりに講演でソウルに行ったところ、あらゆる面で目覚ましく変わっていた。
とくに驚いたのはホテルのフロントで、以前はスタッフのほぼ全員が日本語を流暢に操っていたが、今は誰も日本語を話せず、英語しか通じなかった。あるいは、インバウンドの多様化。かつて韓国を訪れる外国人旅行者の大半は日本人と中国人だったが、今回は欧米人や東南アジア・中東諸国の人たちを頻繁に見かけた。韓国に仕事でよく行く福岡の経済人によると、釜山も同様の状況だという。社会全体が国際化した印象だ。
もともと韓国は1997年のIMF(国際通貨基金)危機を教訓に、当時の金大中大統領が人材の国際化を目指して英語教育に注力した。その結果、国民の英語力が格段に向上し、留学生も日本からアメリカなど英語圏の国にシフトして世界に雄飛するようになった。むろん私の講演と質疑応答は、すべて英語である。
