老後資金づくりに「iDeCo」をどう活用するか(イラスト:イメージマート)
「年金」は、老後の暮らしの命綱。だが、この物価高において、「年金だけで生活できるのか」と不安を抱える人は多いだろう。たしかに、何も考えずただ受給するだけでは“大損”の可能性もある。個人で老後に備えるにはどのような方法があるのか、専門家に話を聞いた。【60歳からの年金「もらい方・増やし方・使い方」・第3回】
経済が不安定な昨今、老後生活のために重要となってくるのが年金だ。1月23日の厚生労働省の発表によれば、4月以降の年金額は国民年金が1.9%、厚生年金が2%、前年度より引き上げられる。だが、これは実質的には“引き下げ”だ。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾さんが警鐘を鳴らす。
「公的年金の引き上げ率に対し、2025年の消費者物価指数(生鮮食品含む総合指数)の平均は前年比3.2%。つまり、物価高に年金額の引き上げ率が追いついていないのです。だからこそ、将来的な、またはいま受け取っている年金を『どうやって増やすか』を、真剣に考えるべきなのです」
iDeCoなら「貯蓄しながら節税できる」
国民年金、厚生年金に加え“個人の年金”で備えておく方法もある。代表的なのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。毎月掛け金を払っておくことで運用され、60才以降に「じぶん年金」として引き出すことができる。最大のメリットは、毎月の掛け金が全額所得控除されること。
「例えば、毎月6万8000円(年間約80万円)を拠出すれば、単純計算で約12万円の節税効果が得られます。債券など、ローリスク・ローリターンな商品で運用すれば、大きく増やすことは難しくとも、元本割れリスクはほぼなく、節税効果は確実に得られる。いわば、貯蓄しながら節税できるのがiDeCoなのです」(北村さん)
自分で働いていて、住民税や所得税を払っているなら、加入するだけで大きな節税メリットが得られる。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。
「掛け金の拠出は原則60才未満まで(一定の条件を満たしていれば60才以降も可能)なので、例えばいま55才のかたは5年間拠出できます。所得控除によって税率に応じた節税効果が得られれば、定期預金に置いておくよりは確実にお得だといえます」
月々の掛け金は最低5000円から1000円単位で決められる。パート主婦なら月2万3000円までと上限があるが、いくら節税になるからといって、誰もが上限ギリギリまで拠出していいわけではない。
拠出額について、『50代から輝く!「幸福寿命」を延ばすマネーの新常識』の著者で、日本経済新聞社コンテンツプロデューサーの田中彰一さんが言う。
「iDeCoは任意の年金であるうえ制度設計上機動的に変更しにくいため、生活防衛資金を削ってまで拠出してはいけません。あくまで余裕資金で備えるものだと心得てください」
