本を読めるという能力が役に立つ
ここで男女差がある。たとえば中堅の男子校の図書館に行くと、話題の本が置かれても読まれている様子がない。一方で女子校ならそういった本は予約で埋まっていく。
作家の倉橋由美子氏が「本を読むというのは女のやることだ。教養を身につけるというのは女のものだ」という旨をエッセイで書いていたが、その本を読めるという能力が総合型選抜で役に立つのだ。
高校入試偏差値48の公立高校から総合型選抜で最難関私大に入学した女子生徒がいる。彼女は数学が苦手で高校受験がうまくいかなかった。しかし、本を読むことと英語は得意だった。高校3年の夏に英検準一級をとり、大量の本に目を通し、興味を持った本は読み込み、志望理由書を仕上げた。
文系学部で大学入学後の学びは、文献を読みレポートを書くことが中心になり、その仕上げとして卒論がある。この学びで必要になるのは日本語や英語で文献を読む力である。そこを見るのが総合型選抜なのだ。
一方で、2025年に文部科学省が推薦入試でも学科試験を課すことを認めた。小論文や面接などを組み合わせる形なら良しということだが、今後は総合型選抜や公募制の学校推薦型選抜でも、より学科試験を重視する入試が増えるだろう。そうなると、学科試験が得意は受験生にもチャンスが拡がる。
少子化の中、大学は少しでも学力が高く勤勉な学生を確保しようと必死だ。そのために入試も多様化している。今後の動向に注目したい。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。