原油急騰とインフレ再燃シナリオ
実際に最も早く反応したのはエネルギー市場です。イラン攻撃が判明後の週明け3月2日には世界の原油価格が急騰し、1バレル=70ドルを超えて80ドルを見据える展開になっています。
原油価格の上昇はインフレ再燃の可能性もはらみます。米国では物価の落ち着きが確認されつつありましたが、2月27日に発表されたPPI(卸売物価指数)、ならびに3月2日に発表されたISM製造業景況指数では、イランへの攻撃前からすでにインフレ再燃懸念があることがデータから示されています。ここにエネルギー価格の上昇が重なると、消費者物価指数への影響は避けられません。
もしインフレ圧力が強まれば、金融政策の緩和期待は後退します。金利低下を前提に買われてきたハイテク株や高PER(株価収益率)銘柄にとっては逆風となるかもしれません。株式市場にとって最も嫌なパターンは、「景気減速懸念」と「インフレ再燃」が同時に意識される局面です。
一方で、金や銀といった貴金属には資金が向かいやすくなります。地政学リスクとインフレの双方に対するヘッジ手段として買われやすいためです。
株式市場への影響は限定的か、それとも拡大か
現時点での株式市場の反応は、ややリスク回避色が強まった程度にとどまっています。ただし、これは「短期で収束する」という前提があるからです。問題は、事態が長期化するかどうかです。
イランとの緊張状態が拡大し、原油価格が持続的に上昇する場合、企業収益への圧迫が現実味を帯びます。特に消費関連や輸送関連には影響が及びやすいでしょう。
ただし忘れてはならないのは、地政学リスクは「初動が最大のショック」になりやすいという点です。市場は最も不透明である最悪のシナリオを最初に織り込み、その後は事態の推移を見ながら修正していきます。拡大しなければ、反動高が起きる可能性もあるでしょう。