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古賀真人「発掘!好決算銘柄」
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《億り人・古賀真人氏が厳選》INPEXだけじゃない 中東情勢緊迫化による原油高騰局面で注目される「エネルギー・海運」関連4銘柄の投資妙味

ホルムズ海峡封鎖で原油価格が1バレル=140ドル程度まで急騰するリスクも指摘されている(UAE沖に停泊する商船。Getty Images)

ホルムズ海峡封鎖で原油価格が1バレル=140ドル程度まで急騰するリスクも指摘されている(UAE沖に停泊する商船。Getty Images)

 中東情勢の混乱がエネルギー市場を直撃し、原油価格は一時、1バレル=112ドルを超えて約2年5カ月ぶりの高値更新となった。その後も高値で乱高下する状況が続いているが、原油価格高騰が業績にプラスに作用するのはどのような企業なのか。億り人投資家でもある、経済アナリストの古賀真人氏が分析し、解説する。

 米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を受け、国際的な原油指標は約7カ月ぶりの高値圏に達した。中東情勢の混乱がエネルギー市場を直撃するなか、原油高の恩恵を受けやすい銘柄への注目が集まった。今回は、中東情勢の変化に対応できるセクターおよび銘柄について解説する。

イラン情勢の概要と原油市場への影響

 中東情勢によって、エネルギー市場が大きく揺れている。今回の情勢悪化がなぜ原油価格を押し上げるのか、その構造的な背景を整理する。

 2026年2月、トランプ米大統領はイランの核開発計画を巡る交渉が決裂した場合に軍事行動を辞さない姿勢を鮮明にした。イランは世界の原油生産量の約3.9%を占める産油国であり、日量300万バレルを超える生産量は世界トップ10に入る規模である。生産設備が毀損されれば供給が直接減少し、原油価格に大きな影響を与えることになる。実際に米国とイスラエルがイラン国内の複数の軍事拠点やインフラへの攻撃に踏み切ると、市場は供給途絶リスクを一気に織り込み、WTI原油先物は3月9日、一時1バレル=112ドルを超えて約2年5カ月ぶりの高値更新となった。

 イランとの軍事的緊張が原油価格を大きく動かす最大の理由は、同国の産油国としての存在感以上に、“ホルムズ海峡を制御できる”という地理的優位性にある。ホルムズ海峡は、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、クウェート、イラクなど中東の主要な産油国が原油を輸出するための出口であり、世界の「大動脈」とも呼ばれている。世界の石油消費量の約20%(日量2000万バレル以上)が、この非常に狭い海峡を通過している。イランが軍事力を使ってこの海峡を封鎖する、あるいはタンカーの航行を脅かすような事態(機雷の敷設や拿捕など)になれば、中東の原油が世界に届かなくなる。原油市場が最も警戒しているのは、まさにこのホルムズ海峡の封鎖リスクなのだ。

 日本総合研究所の試算では、中東からの化石燃料輸入がすべて途絶する最悪シナリオにおいて、原油価格が1バレル=140ドル程度まで急騰するリスクがあるとされている。一方で、ホルムズ海峡の封鎖はイラン自身の原油輸出ルートをも遮断する「諸刃の剣」であるため、専門家の多くは封鎖の可能性を低いと分析していた。

 ところが、海峡は実質的に封鎖状態に陥った。イランの精鋭部隊「革命防衛隊」が海峡を通過しようとする船舶を攻撃対象にすると警告し、実際にドローンやミサイルによるタンカーへの攻撃が発生しているためだ。

 まさに3月11日、ペルシャ湾において商船三井が所有するコンテナ船が実際に攻撃を受け、船体が損傷する事態が発生した。日本人乗組員が乗船する日本関連船舶が直接の標的となったことで、中東リスクはもはや対岸の火事ではなくなった。

 この状況を受け、世界的な保険会社が同海峡を通過する船舶への保険提供を停止、あるいは保険料を大幅に引き上げた。保険がなければ万が一の際の損害が莫大になるため、民間企業はリスクを恐れて航行を断念せざるを得なくなるのが実情である。

 日本は原油の9割以上を中東地域からの輸入に依存しており、原油価格の上昇は日本の家計と産業の両面に広く波及する。原油価格高騰で経済的な被害を最も受ける国は日本ともいわれている。それだけに、石油開発・生産・運輸を手がける企業の需要は大幅に増加し、収益を大きく押し上げるという観測も生まれている。以下に、これらのセクターからの注目銘柄を紹介しよう。

原油高局面で最初に物色される銘柄

【INPEX(1605)】

 INPEXは、中東情勢の悪化で最も注目すべき国内銘柄のひとつだ。日本最大の石油・天然ガス開発会社として中東やオーストラリアなど世界各地で探鉱・生産を手がけており、原油価格が上昇すると売上高および利益が直接的に増加する収益構造を持っている。オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトなど大型資産を保有しており、原油だけでなくLNG価格の上昇も同時に追い風となる点が強みである。

 2025年12月期通期実績は売上収益2兆113億円、営業利益1兆1354億円で前期比減収減益となった。期中平均のブレント油価が1バレル=68.19ドルと前期比で11.67ドル低下したことが主な減益要因だが、油価・為替調整後の実質的な当期利益は過去最高を達成しており、事業の底堅さが確認できる。

 2026年12月期の通期見通しは、ブレント油価63ドル・為替151円を前提に売上収益1兆8930億円、営業利益9570億円を見込んでいる。しかし、今回のイラン情勢により原油価格が前提の63ドルから大きく高騰しており、業績の上方修正期待は高まっている。中東情勢の緊迫が長引くほど業績への恩恵が積み上がる構造であり、原油高局面で最初に物色される銘柄といえる。

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