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森口亮「まるわかり市況分析」

《FRBが直面する“究極の板挟み”》原油高騰によるインフレ再燃と雇用統計の悪化で急速に高まる「スタグフレーション」への懸念 投資家が考えるべき選択肢とは

大きく悪化した雇用統計

 物価上昇の懸念が強まる一方で、景気減速の兆候も鮮明になってきました。

 2026年3月6日に発表されたアメリカの2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比で9.2万人減少しました。これは、市場予想の5.5万人増を大きく上回る結果であり、雇用者数がマイナスに転じたことは、労働市場に対する警戒を投げかけるものでした。さらに、失業率も4.4%に悪化し、労働市場の軟化が明確に示されました。

 この雇用統計の悪化は、米国経済が景気後退局面に入りつつある可能性を示唆しています。これまで堅調とされてきた労働市場が悪化し始めたことで、消費活動の鈍化や企業投資の抑制が懸念されます。

 これによって、物価上昇と景気後退が同時に進行するスタグフレーションへの警戒が一気に高まったことは確実です。

2つの使命(デュアル・マンデート)の板挟み

 このような状況下で、米国の中央銀行であるFRBは極めて困難な政策判断を迫られています。

 FRBには「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの使命(デュアル・マンデート)が課せられています。通常であれば、景気が悪化すれば利下げによって経済を刺激し、インフレが進行すれば利上げによって物価上昇を抑制するという政策が取られます。

 しかし、現在の状況は、そのどちらか一方を選択することが、もう一方の使命と相反するという板挟みの状態です。もしFRBが雇用悪化を懸念して利下げに踏み切れば、原油高によってすでに加速しているインフレをさらに助長するリスクがあります。これは、物価の安定という使命に反する行動となり、国民生活を圧迫するだけでなく、経済の不安定化を招く可能性があります。

 一方で、利下げをせずに現在の金利政策を維持すれば、雇用悪化がさらに深刻化し、米国経済が本格的なリセッションに陥る危険性が高まります。これは、雇用の最大化という使命を達成できないことを意味します。

 今後のFOMC(連邦公開市場委員会)ではどちらかの選択を迫られていると言えるでしょう。市場はFRBがこの二重苦に対してどのようなメッセージを発するのかに注目をしています。

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