中学受験で「塾に通わない」という選択肢もある
中学受験を目指す場合、学習塾に通って対策するのが一般的だが、時間的な拘束や費用の負担が大きくなりがちだ。では、塾に通わずに受験で成功を収めることは可能なのだろうか。『中学受験 やってはいけない塾選び』の著書もある、ノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の前編】
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中学受験は小学4年から集団塾に通い、4教科の対策をするのが基本スタンスとなっているようだ。小学4年の週2日の塾通いから始まり、週末にテストが入ることもある。小学6年になると土曜・日曜の特訓が加わり、週4日以上の通塾が当たり前になる。3年間の費用は300万円近くに達することも珍しくない。
費用もさることながら、時間もかなりとられてしまう。サッカーやピアノなどの習い事も辞める受験生も多い。
「そこまで時間やお金をかけなくても、中学受験をさせることはできないの?」という疑問も出てこよう。市販の教材だけで自宅で対策はできないのか。通信講座だけでは難しいのか。そんな考えを持つ保護者は少なくないだろう。実際、中学受験生の約1割は「集団塾に通わずに対策している」という話もある。
こうした受験生はどのように勉強を進め、どのレベルの学校まで合格できるのか。見ていこう。
「塾なし」にも様々なグラデーションがある
「完全に保護者が市販のテキストだけで教えているケースもあれば、算数だけ個別指導に通う、通信講座を利用するといったように、“塾なし”にも様々なグラデーションがあります」
こう話すのは、横浜市・石川町にある中学受験専門の国語塾「PREX」塾長の渋田隆之さん。指導歴30年で大手塾の経営にも長く携わり、現在はONETES(旧首都圏模試)での講演もしている。渋田さんは普段から「現在の中学受験対策は過剰になっている」と説いている。
まず、一口に「塾なし受験」といっても、その実態は多様だ。では、なぜ集団塾で4教科を受講しなくても受験ができるのか。渋田さんはこう言う。
「首都圏の私立中学校約300校のうち、約200校が“新タイプ入試”を導入しています。算数1教科入試もあれば、プレゼン型入試もあるなど、中学入試は多様化しています」
中学入試はもはや「4教科型」だけではない。宝仙学園中学校共学部理数インター(東京都中野区)は、「好きな本のプレゼン」を課す読書プレゼン入試、英語のプレゼンを課すグローバル入試(英検2級程度が対象)など、12種類もの入試パターンを設けている。
巣鴨中学、高輪中学といった東大合格実績がある男子校や、普連土、富士見などの理系や早慶への進学者が多い女子校なども、「算数のみ」の入試を実施している。2026年度からは跡見学園中学校が「国語1教科入試」「算数1教科入試」を新たに導入した。東京女学館・恵泉をはじめ、国語・算数の2教科入試を行う学校も多く、特に女子校でこの傾向が目立つ。
こうした学校を目指すなら、集団塾で4教科を対策しなくても受験は十分に可能だ。
