伐採せざるを得ないのか?(イラスト/大野文彰)
隣家に飛び出た木などの処分を求められ、それがご近所トラブルに発展する例は少なくない。では花粉症を患う近隣住民からスギの木の伐採を要求された場合、どうように対応すべきなのか、実際の相談に回答する形で、竹下正己弁護士が解説する。
【相談】
実家が所有する土地にスギの木が何本もあります。複数の近隣住民から「花粉症がひどいので伐採してほしい」と言われましたが、伐採には費用もかかるし、両親は伐採したくないと言っています。
もし近隣住民から法に訴えられた場合、伐採せざるを得ないのでしょうか。費用はどうなりますか。教えてください。(埼玉県・パート・58才女性)
【回答】
戦中戦後の過度な伐採で荒廃した山林を回復させる必要や高度経済成長期の木材需要から、成長が早いスギが植林されてスギ林の面積が増大しました。しかし、安価な輸入材に負けて伐採されなくなったスギが増えるにつれ、花粉症患者が増えていきました。日本では1962年までスギ花粉症が知られていなかったとのことです。花粉症は空中に浮遊する花粉の量や個々人の身体的条件により発症の有無や症状の程度が違います。
あなたの実家のスギの花粉により隣人が健康を著しく損ない、伐採する以外に健康を回復する方法がなく、それを実家も認識していると仮定します。その場合、スギを維持することは故意に隣人の身体を侵害する不法行為になるとして、隣人が侵害の差し止めのためにスギの伐採を請求するという理屈が考えられます。
