中国のスパイネットワークに日本の公安当局も警戒(習近平・国家主席/Getty Images)
「スパイ天国」と揶揄される日本に対して、中国は機密や経済情報、知的財産の窃取から、政治家を巻き込んだ工作まで幅広くスパイ活動を仕掛けているという。その実態について、国際ジャーナリストの山田敏弘氏がレポートする。【前後編の前編】
「中国の地下銀行」と金塊ビジネス
中国によるスパイ活動のなかでも、日本の公安当局が警戒を強めている対象が、日本で確認されている「中国の地下銀行」と、中国のスパイ活動を操る国家安全部に関連する民間企業も絡んだスパイネットワークだ。
地下銀行とは、正規の銀行免許を持たずに、国をまたいだ資金移動を行なう違法な決済方法のことを指す。仕組みは驚くほどシンプルで足がつきにくい。例えば、日本にいる中国人依頼者が、記録を残さず中国本土へ100万円送りたい場合、まず日本にいる地下銀行グループに現金を預ける。すると、中国側にいる仲間が、現地の口座から同額の人民元を引き出す。両国にある拠点間で帳簿上の相殺を行なうのだ。
そうなると日本の税務当局は資金の流れを捕捉できず税金を徴収できないばかりか、不当な方法で得たカネの資金洗浄場所として日本が使われることになる。地下銀行関係者は、取引があると、その5~10%の手数料を取って稼ぐという。
その地下銀行を使って現在行なわれているのが「金塊を運ぶビジネス」だ。カラクリはこうだ。香港で金塊を無税で購入し、コンテナ船の荷物に紛れ込ませて、日本に密輸。日本でそれに消費税分を上乗せして売却し、ボロ儲けするのだ。
それが地下銀行を通じて資金洗浄され、再び中国本土に流れていく。地下銀行グループに繋がっているのは日本にいる中国系の輸入業者や経営者などが多いという。
