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キャリア

【あの屈辱を忘れない】就職氷河期時代に就活した女性たちから続々と噴出する怨嗟の声 本当に社会は変わったのか?語り継ぐべき“男女の扱いの差”とは

「今さら活躍といわれても…」という本音

 そんな時代があったことがウソのように、女性たちへの扱いは、少なくとも表面上は大きく変わっているかのうようにみえる。

「女性活躍」が叫ばれ、大手企業を中心に男女の採用比率は半々になっている。「寿退職」は死語となり、産んでも働き続け、夫婦でともに育てる社会となりつつある。女性の大学進学率も上がった。とはいえ、指導的立場にある女性の比率はまだ低い。難関大学や、理系の女性比率などは相対的にまだまだ低い。だから管理職の比率をあげろという号令が出されたり、大学や一部の企業には「女性枠」などという枠が設けられたりするのだが。

 僕と同い年で、大手マスコミに就職した女性がアラフォーになった頃、言っていたことがある。彼女は都内の名門高校を卒業後、慶応大学に進んだ才女である。

「管理職にさせられそうなんだよね」

 めでたい話かと思えば、彼女は浮かない顔でぶちまけるのだ。

「さんざん不遇な目に合わせておいて、いまさらチヤホヤして管理職の打診よ。勝手でしょ? 知らんがなというのが本音。私たちの世代って、そもそも女を採用していないし、入りたい会社に入ったわけでもないから、離職率も高いんだよね。つまり会社に管理職になりうる女性が少ないということ。だから、別に何が評価されてきたわけでもない私なんかに、管理職のオファーが来るというわけよ」

 とはいえ、就職氷河期にマスコミに就職できたというのはなかなかの優秀さがあるはずなのでは?

「英語ができたのと、運がよかっただけよ。家がちょっとお金持ちっぽいとか、そういうのもあったかもしれない。今は単純に、女が少ないから私に(管理職の)白羽の矢が立っただけ。会社としては“女性が活躍”している姿を見せたいだとか、女を採用ページに載せたいといった思惑があるみたいだけど、私は別に“活躍”なんてしたくない。ひっそりと、淡々と生きていきたい。組織としてはビジネスをどう進めるかを考えることが先であるべきなのに、本当性別って面倒くさい」

 たしかにごもっともである。手の平を返したような扱いだし、女性と真剣に向き合っているとは言い難い。実際、「女性採用は今年ゼロでーす!」と堂々と言い放つような表向きの女性差別はなくなったかもしれないが、就活においてセクハラが厳然と存在することは無視できない。

 就活セクハラとは、前述「彼氏いるの?」のように、選考において恋愛や性に関する質問をする、性的な冗談やからかい、容姿についてコメントする、個別に食事に誘う、身体にふれる、恋愛や性的な関係を求めるなどを指す。無論、対象は女性に限らないが、昨年1月にはNECの男性社員がインターンシップに参加していた女子大生に対する不同意性交の疑いで逮捕された事件が報じられたように、女性のほうが被害に遭いやすいのはたしかだろう。いったい、社会は女性を「どう」見ているのか。「どう」あってほしいのかを考えさせられる。

 さて、就職氷河期世代の女性たちは「実験台」だったのだろうか。実験台だったとしたら、それはいま「有効」なのだろうか。

【プロフィール】
常見陽平(つねみ・ようへい)/1974年生まれ。、北海道札幌市出身。1997年3月、一橋大学商学部卒業後、株式会社リクルート、株式会社バンダイ等を経て、2012年4月に一橋大学大学院社会学研究科修士課程に入学。修了後、2015年4月に千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任、2020年4月准教授、2025年基盤教育機構准教授、2026年教授となり現在に至る。主な著書に『日本の就活』(岩波新書)、『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)、『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など。

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