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投資
元TBSアナ、国山ハセン氏「プロから学んだお金の増やし方」

「このままでは、冷静な判断ができなくなる…」株価暴落に直面した元TBSアナ・国山ハセン氏が、感情の暴走を止めるために実践した“驚くほど効果的だった”対策とは

土台がないまま3階部分だけ大きくなっていないか?

 3階建てで資産を考えるとき、いちばん大切になるのがバランスです。3階部分だけにお金を注ぎ込むのは、どれだけ投資に慣れている人でも危険です。一般的に、大きな損失を抱えてしまう人の多くは、この3階部分が異常に大きくなっているケースです。

「この銘柄は絶対上がる」と確信して、資産の大半を個別株に集中させてしまう。結果、その会社が不祥事を起こしたり業績悪化に見舞われたりすると、ポートフォリオ全体が一気に傾いてしまいます。

 あるいは、FX(外国為替証拠金取引)のように、為替の値動きにレバレッジ(てこの原理)をかけて大きな利益を狙う商品や、価格変動が非常に激しい仮想通貨に資産を寄せすぎているパターンも同じです。これらは短期間で大きく増える可能性がある反面、急落すれば資産が一気に目減りするリスクも抱えています。

 実際、僕自身もかつて「3階」ばかり豪邸にしてしまい、全体のバランスがぐらつきかけたことがあります(笑)。たまたま暴落が来なかっただけで、今思えば完全に危ない橋を渡っていました。

 しっかりとした1階と2階という土台があってこそ、3階で自由に動き回る余裕が生まれます。逆に言えば、土台がないまま3階だけ豪華にしてしまうと、ちょっとした風でも建物全体が傾いてしまう。

 攻めたい気持ちがあっても、まずは下の階を固めておくことが、結果的に「長く投資を続けるための最短ルート」になるのだと思います。

 資産を「3階建て」で考えるという発想。この1 階部分の「生活防衛資金」の大切さを再認識させてくれたのが、お笑いコンビ「パックンマックン」のパックン(パトリック・ハーラン)さんです。ハーバード大学卒のコメンテーターとしても知られるパックンさんですが、実は投資歴30年超えのベテラン投資家でもあります。

 パックンさんが投資の大前提として掲げているのが、「エマージェンシー資金」の確保です。これは、病気や災害、突然の失業といった予期せぬトラブルに見舞われた際、自分と家族を守るための「聖域」となる現金のこと。生活費の数ヶ月分を投資に回さず、あえて現金として手元に置いておく資金のことです。

「半年分の生活費」をキャッシュとして確保

 では、生活防衛資金(パックンさんの言うエマージェンシー資金)はいくら用意しておけばいいのでしょうか。

 パックンさんが1つの指標にしているのが「半年分の生活費」です。毎月30万円で生活している家庭なら、180万円(30万円×6ヶ月)をキャッシュとして確保しておく。

 僕もこの「半年」という期間は妥当だと考えています。たとえば転職したい場合、半年もあれば、転職活動に必要な時間をしっかり確保できます。一般的に、転職が決まるまでの期間は3~6ヶ月と言われますし、面談準備や職務経歴書の作成など、どうしても一定の時間がかかります。

 仮に1~2ヶ月をリフレッシュ期間にあてたとしても、残りの期間で腰を据えて次のキャリアを考える余裕が生まれます。

 一方、「3ヶ月分」では明らかにリスクが高いと感じます。3ヶ月は体感的にも一瞬で過ぎますし、転職がスムーズに決まる保証もありません。

 そんな状況で預金が尽きそうになれば、精神的に追い詰められてしまうでしょう。たとえ失業保険があっても、毎月の残高が目に見えて減っていくプレッシャーはそうとうなものです。焦りが強くなると、希望しない業種に飛び込んでしまったり、条件の悪い転職先を妥協して選んでしまう可能性もある。

 お金の残高に怯えることなく判断できるだけで、選択肢の質が大きく変わるはず。生活費の「半年分」という余裕は、精神的な安全装置としても機能します。

 パックンさんが唱える「半年分」も理にかなっていますが、僕は個人的に「200万円」を1つの基準にしています。理由はシンプルで、人の金銭感覚は“3桁(100万円台)”か“2桁(100万円未満)か”で、大きく変わるからです。

 たとえば、貯金が100万円の状態で1万円を使うと、残高は99万円。この「100万円を切った」という事実が、想像以上に心理的なダメージになります。行動経済学では“メンタルアカウンティング(心理的会計)”と呼ばれる現象で、人はキリの良い数字や境界を強く意識してしまう。その境界を一度割り込むと、気が緩んでしまい、支出が一気に雑になりやすいのです。これは、1万円札を崩したとたんに財布の中身がどんどん消えていく感覚に近いと思います。

 一方、200万円あれば1 万円使っても199万円。「3桁ゾーン」を維持できます。さらに、スクールや資格取得などの自己投資に50万円使っても、150万円が残る。しかし、貯金が100万円の状態で同じ50万円を使ってしまうと、残高は50万円。数字は同じでも、心理的にはまったく別物です。

 ただし、これはあくまでひとつの目安です。たとえば、独身で健康な20代なら果敢にリスクを取れるでしょう。守るべき家族も少なく、いざとなればバイトや副業で収入を確保する柔軟性もある。また、実家暮らしの人なら生活に困窮するリスクは比較的小さい。こういった場合、生活防衛資金を少なめに設定し、その分を投資に回すという選択も十分考えられます。

 一方で、住宅ローンを抱えている家庭や、小さな子どもがいる家庭では、半年分では不安が残るケースもあります。働けなくなるリスクや急な出費の幅が大きいため、1年分を目安にしてもいいかもしれません。

 まとめると、基本はパックンさんが掲げる「生活費の6ヶ月分」。僕自身は、心理的にも安心できるラインとして「200万円」を目安にしています。ただし、最適な金額は家族構成・働き方・収入の安定性・住居環境などによって大きく変わります。

 いずれにしても、大切なのは、まず自分なりの“安心できる生活防衛資金”の基準を決め、その土台を築いてから投資に踏み出すことです。この土台がないまま投資を始めるのは、命綱なしで綱渡りをするようなもの。どれだけ魅力的な投資先があっても、まずは“1階部分”を固めるという順番は守るようにしましょう。

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