億り人・古賀真人氏が解説する「電線御三家」銘柄
超多心光ファイバケーブルで世界を席巻するトップランナー
【フジクラ(5803)】
フジクラは、間欠接着型リボンを用いた超多心光ファイバケーブル「SWR」および「WTC」を中核製品とし、メガクラウドベンダーの巨大データセンター網において事実上の業界標準(デファクトスタンダード)の地位を確立したトップランナーである。御三家の中でもいち早くAI特需の波に乗り、株式市場からの評価を最も高めてきた銘柄だ。
しかし、2026年5月13日に発表された2026年3月期本決算の直後、同社の株価はストップ安の大暴落に見舞われた。売上高は前年同期比20.2%増の8549億円、営業利益は同47.7%増の1422億円、純利益にいたっては同89.4%増の1119億円と、目覚ましい前年成長を記録している。だが、問題は新年度の業績見通しである。前年比で売上は+5.1%、営業利益は+11.8%、経常利益は+9.3%、さらには純利益とEPSは▲0.7%と減益の見通しを出し、明らかな成長鈍化を発表した。
決算発表前、同社の株価は「AI最強銘柄」として過剰なまでに買い進められていた。まさに「Buy the rumor, sell the fact(噂で買って事実で売れ)」の相場格言の通り、高値圏で飛び乗った投資家が逃げ場を失い、損切りの投げ売りが殺到、「フジクラショック」とも言われる騒ぎとなった。
この大暴落を経た現在でも、同社の投資指標はPER(株価収益率)が67.4倍、PBR(株価純資産倍率)が18.78倍と、重厚長大産業としては異例の超高水準を維持しており、依然として過熱感を感じざるを得ない水準である。
今後の展望については、2023年5月19日に発表された「フジクラグループ2025中期経営計画」が道しるべとなる。同社は「SWR/WTCのグローバル展開による高収益化」と「ROIC経営の徹底」を推し進め、事業の選択と集中を断行してきた。目先は手痛い株価下落の真っただ中といえるが、データセンター網の800Gや1.6Tといった次世代超高速伝送規格への移行という追い風は吹いたままである。過熱感が多少剥がれ落ちた今こそ、同社の真の成長力と底力が試される局面となるだろう。
