「SaaS企業」が顧客獲得に注力する理由とは(写真:イメージマート)
「SaaS(Software as a Service)型のビジネス」を展開する企業の中には、決算は赤字でも売上高が伸びている企業もある。第1回では、会計サービスをSaaSで展開するフリー株式会社(以下「freee」)を例に、赤字を出しながら売上高増を優先する理由を紹介した。第2回では、コストの面からfreeeの経営戦略を読み解く。【全3回の第2回。第1回から読む】
※若手会社員・一ノ瀬君との会話形式で構成される「妄想する決算」氏の新著『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)より一部抜粋して再構成
コストを時間軸の観点から考える
妄想さん:では続いて、コスト面も見てみましょう。freeeの売上原価はどのようなものがあると思いますか?
一ノ瀬君:何だろう? サービスを作ったり、維持したりするための人件費とかかな。とはいえデジタル系だからあまりかからなそう。
妄想さん:正解です。サービスを作り維持するための人件費や外注費、経費、そしてサーバー代などが原価です。freeeでは原価率は17.7%です。
一ノ瀬君:2割きってるんだ。低めだね。
妄想さん:ただ、一部は原価になるものの、サービス開発のコストの多くは研究開発費として販管費扱いとなります。
このあたりは会計的な細かい論点で、決算書を活用する際には重要でなく、無理に覚える必要はありません。ただ、実際はサービスを開発するためのコストはもっとかかっていますよ、という話です。
一ノ瀬君:そういう細かい会計の話は、いったん覚えなくていいってわかると気が楽だね。
妄想さん:そして、「デジタルサービスの原価があまりかからなそう」というのはいい着眼点です。ラーメンを作るには毎回同じ具材が必要ですよね? 日高屋のようにリアルな食材を扱っていると、原価率は売上規模にかかわらずほぼ一定です。一方で、デジタル商品の場合は一度作ってしまえばそれを100人が利用しようが、1000人が利用しようが、作るためのコストは変わりません。
一ノ瀬君:YouTuberが動画を1度作りさえすれば、再生回数が100回でも100万回でも、コストは一定なのと同じだね。再生回数が増えれば増えるほど利益率が上がるみたいなものかな。
妄想さん:freeeのようにデジタル系のサービスを提供している企業では、売上の拡大で原価率が下がり粗利率が上がるモデルとなっています。
一ノ瀬君:デジタル系のサービスって、拡大重視の印象があったけど、そんな理由もあるんだね。
妄想さん:サーバー代などユーザー数の増加に応じて増えるコストもありますが、売上原価に占める変動費が小さなビジネスです。
続いておもな販管費には何があると考えられますか?
