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ビジネス
妄想する決算「未来を読み解く決算書」

「だから顧客獲得に大きなコストをかけるのか!」 短期では赤字でも長期で利益の最大化を目指す「SaaS企業」の経営戦略

売上原価に占める変動費が小さく、売上拡大により利益率が拡大しやすい特性があるfreeeは、どんな科目で販管費を使っている?

一ノ瀬君:売上の拡大を重視してるんだし、そのためのコストが大きそうだよね。人件費とか広告費とかの規模が大きいのかな。

freeeの損益計算書(2025年6月期)(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

freeeの損益計算書(2025年6月期)(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

妄想さん:ビジネスシーンでは販促のための広告費や営業人員の人件費、経費などをS&M(セールス&マーケティング)と呼ぶことがあります。freeeが開示した数字によると、2024年6月期の対売上高でのS&M比率は66.7%となっています。

freeeのS&Mの対売上高比率の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

freeeのS&Mの対売上高比率の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

一ノ瀬君:大きな赤字は、顧客獲得のためにかなりのコストをかけていたから、ってことだね。

妄想さん:もう、一ノ瀬君ならそれだけコストをかける理由もわかりますよね?

一ノ瀬君:ここまで見てきたら、わかったよ。

 売上はサブスクリプション型で解約率が低いから、一度顧客を獲得できれば長期的な売上につながる。そしてデジタルのサービスで変動費が小さいから売上の増加が利益率の上昇にもつながる。

 だから「短期では営業コストとか広告費とかで赤字でユーザーを獲得したとしても、長期で考えると利益の最大化が目指せる」ってことでしょ。

妄想さん:すばらしいです! このように時間軸を長く取って考えてみると、「今が赤字か黒字かだけでは企業の状況を判断できない」と理解できたと思います。だからこそ、今は赤字だとしても売上の拡大が容認されるケースがあるわけです。

妄想さん:とはいえバックオフィス系のサービスは競争が激しいため、freeeも広告費の大きさを指摘されることがあります。顧客獲得のためならいくら赤字を出してもいいというわけではないので、「長期利益のため」という前提は忘れないようにしましょう。

(第3回に続く。第1回から読む)

※妄想する決算・著『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)を元に一部抜粋して再構成

【プロフィール】
妄想する決算/1990年福島県生まれ。コンテンツクリエイター。投資に関するコンテンツは数多くあるが、決算書からビジネスモデルを紐解くコンテンツが少ないと感じ、音声メディア「voicy」で「10分で決算が分かるラジオ」を配信開始。上場会社が出す決算の1次情報とメディアから出てくる2次情報の中間1.5次情報を10分にまとめた内容で人気に。番組の総再生回数は870万回を超える。「ForbesJAPANクリエイター100」に選出。今は、海外や日本を転々としながら、Voicyを週に5日更新しつつ、日興証券フロッギー、楽待など、web媒体での連載も多数。2026年3月、『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)を出版。
Xアカウント:@DualHouse

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