イオン九州の売上高と営業利益の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)
セリアの売上高と営業利益の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)
妄想さん:イオン九州は経営統合の影響があったり、両社とも店舗数を増やしていたりするため単純な比較はできないものの、近年の業績の推移を見てみると、イオン九州は増収増益傾向で好調、セリアは増収は続いているものの利益面は停滞しています。
一ノ瀬君:やった、当たった!
妄想さん:だいぶ理解が深まって、業績をイメージできるようになっていますね。ただし、100均では客単価は近年微減傾向となっています。
一ノ瀬君:ええっ?! インフレになって「節約のために100均で買いものする量」って増えてないのかな?
妄想さん:そうなんです。このように直感と数字がまったく異なるケースは数多くあります。だから数字を確認することが大切なんです。では、なぜ客単価が伸びていないのかというと、100均の売上を支えているのは「ついで買い」だからです。
一ノ瀬君:そうか、100均行くとついつい「いらないかも」と思いながら買っちゃうもんね。インフレで節約志向が高まると財布のひもが固くなるから、そういった「ついで買い」が減っちゃうのか。
妄想さん:「インフレだから100均は伸びるはず」という予想がずれていたことになります。予想を単純に結びつけず、本質的に何が売れているかを考えてみることが大切です。そして、こうした「ついで買い」の商品は粗利率が高いことが多いので、それが減ると利益も減りやすくなります。
一ノ瀬君:たしかに、なんかついつい買っちゃう小物とかって原価率低そうだね。くそー、決算書をまだ充分に理解できていないってことか。
妄想さん:一ノ瀬君は、高い精度で予想できてますし、決算書を有効に活用できるようになっていますよ。イメージの解像度が高いと、実際に決算書を読んだときに、イメージとずれた点が即座に見つけられます。そして、なぜなのかにも興味がわくはずです。
一ノ瀬君:たしかに、なぜ客単価が伸びてないのか、めちゃくちゃ気になった。
妄想さん:このように、仮説を立ててから決算書を読み、「ああそうか、100均はついで買いが重要だからインフレ局面では客単価が伸びないんだ」と新しい発見をすることこそが、決算書の正しい活用方法そのものです。
一ノ瀬君:クイズみたいに自分の仮説を確かめていく感じなんだね。
妄想さん:そして得られた発見から「ついで買いを喚起するようなビジネスは同じように苦戦をしてるんじゃないか?」「そのような事業を始めることは今は難しい」など、さらに活用できるわけです。つまり、イメージとのずれを発見できるということは、損益計算書の情報を活用できる状態だということです。
(後編に続く)
※妄想する決算・著『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)を元に一部抜粋して再構成
【プロフィール】
妄想する決算/1990年福島県生まれ。コンテンツクリエイター。投資に関するコンテンツは数多くあるが、決算書からビジネスモデルを紐解くコンテンツが少ないと感じ、音声メディア「voicy」で「10分で決算が分かるラジオ」を配信開始。上場会社が出す決算の1次情報とメディアから出てくる2次情報の中間1.5次情報を10分にまとめた内容で人気に。番組の総再生回数は870万回を超える。「ForbesJAPANクリエイター100」に選出。今は、海外や日本を転々としながら、Voicyを週に5日更新しつつ、日興証券フロッギー、楽待など、web媒体での連載も多数。2026年3月、『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)を出版。
Xアカウント:@DualHouse

