アメリカのトップクラスの大学群
明確な「序列」のないアメリカの大学
まず、志望校の選び方――アメリカの大学入試においては、これが何と言っても難題ですが、その背景には、日本とは異なる事情があります。
偏差値で序列があるわけではないし、序列的なものはあるにしても、その中で「少しでも上に」入れればいいという単純な決め方ができないのです。大きなくくりとしての「格の違い」はあるのですが、一校刻みの「序列」というものはありません。
たとえば、ハーバードかスタンフォードか、プリンストンかMIT(マサチューセッツ工科大学)か。併願して複数の大学に受かったとして、第三者から見れば「贅沢な選択」かもしれませんが、どちらを選ぶのかは決して楽な選択ではありません。
何となく、ハーバードが世界一のようなイメージがありますが、実際の大学入試では、そうした単純な基準で選ぶ人は少ないと思われます。同じように、それぞれのレベルの中にはさまざまな個性的な大学が並んでおり、それぞれに明確な序列というものはないのです。
米国北東部にある、ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス・カレッジ、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イエール大学の8つの名門私立大学は、「アイビー・リーグ」と呼ばれています。
東海岸でこのアイビー・リーグと同等のグループと言われる、カーネギー・メロン、シカゴ、ジョンズ・ホプキンス、ジョージタウン、ワシウ(ワシントン大学セントルイス校)、デューク、ボストン・カレッジといった大学群にしても、序列化は簡単にはできません。
これとは別に、少人数教育で定評のある「リベラル・アーツ・カレッジ」という存在もあります。女子学生の場合は、女子大学という選択も可能で、レベル的にはこれも十分に名門大学のカテゴリに入ってきます。
そもそも、「理系と文系」という区別もありません。MITやカリフォルニア工科大学(カルテック)、ジョージア工科大学など、理工系中心の大学もあるにはありますが、たとえばMITにはMBA(ビジネス実務の大学院)が併設されている点で、日本的な理工系大学の枠組みには収まりません。
このように、アメリカの大学の場合には、一般的には理系・文系の区別はなく、出願も合否選考も一括で行われるのです。漠然と「文系」だからということで、志望校が自然に絞り込まれるということでもなく、文系だから競争率が低いというようなこともありません。
つまり、日本のように、まず「理系か文系か」を決め、「偏差値で国公立を狙い、滑り止めに私立を数校」といったような選択方法は取れないことになります。
*冷泉彰彦著『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・再構成
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【プロフィール】
冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)/ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部ディレクター。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て1993年に渡米。著書に『アメリカの警察』(ワニブックス新書)、『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)、『「関係の空気」「場の空気」』(講談社現代新書)など。有料の週刊メルマガ「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。
