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「トランプ大統領、万事休す」中間選挙に敗北なら、退陣もしくは自ら政権を投げ出す可能性 落ち目のトランプ政権に“抱きつき外交”の高市首相は“親米の徒花”で終わるのか

もう“抱きつき外交”は限界か(イラスト/井川泰年)

もう“抱きつき外交”は限界か(イラスト/井川泰年)

 トランプ政権は11月に中間選挙を控えているが、支持率が下がり続けている。そうしたなか、「日本はアメリカべったりをやめ、独自の世界観で新しい答えを見つけていかねばらない」と指摘するのは経営コンサルタントの大前研一氏だ。なぜトランプ政権は低迷しているのか、日本はアメリカとどう向き合っていけばよいのか。大前氏が解説する。

公約をほとんど実現していないトランプ大統領

 トランプ大統領の支持率が下がり続けている。ロイター/イプソスの世論調査によると、2025年1月の就任時は47%だったが、今年6月は35%になり、2期目政権のほぼ最低水準に落ち込んだ。

 大統領就任から1年半が過ぎてトランプ政権の歯車は完全に“逆回転”し、11月の中間選挙に黄信号が灯っているわけだが、理由は明白だ。トランプ大統領が掲げた公約がほとんど実現していない上、インフレが加速しているからである。

 その象徴が関税だ。国際緊急経済権限法に基づく相互関税には連邦最高裁判所が「大統領に関税を課す権限は与えていない」として憲法違反の判断を示した。

 1974年通商法122条を根拠にすべての国からの輸入品に150日間限定で10%の関税を課す大統領令を発動したことについても、米国際貿易裁判所が「大統領権限を逸脱している」として違法の判決を下した。122条に基づく関税措置は7月24日で期限が切れるため、トランプ政権は同法301条を根拠に「貿易相手国の不公正な取引慣行」に対する新たな関税措置を検討している。日本を含む60か国・地域に対して、最大12.5%の追加関税を課すというが、最終的な対象国や品目、関税率などは今後決まる見通しで、その効果も未知数だ。

 一方、アメリカのインフレ率は3月の3.3%から4月は3.8%に上昇し、2023年5月以来の最高水準になった。イラン戦争によるガソリンなど燃料油の高騰に加え、関税の影響で食品や住居費なども値上がりしている。だから、生活が苦しくなった国民は、トランプ大統領に見切りをつけつつあるのだ。

 そして、5月に北京で行なわれた中国の習近平国家主席との首脳会談もアメリカにとっては不本意な結果だった。トランプ大統領は、中国がボーイング製の航空機200機の購入や米国産農産物を少なくとも年170億ドル(約2兆7000億円)分を購入するなどの合意をして「たくさんのディール(取引)ができた」と成果を強調したが、果たして今後、実際にこれだけのディールが実現するのか、大いに疑問が残る。昨年10月の前回会談における「貿易戦争の休戦」を事実上延長する内容だったとも報じられている。

 それだけでなく、台湾問題については中国側が「処理を誤れば両国は衝突しうる」と警告を発したのに対し、アメリカ側のファクトシートは「言及せず」と発表。関税も中国側が「一部引き下げ合意」としたのに、アメリカ側はやはり「言及せず」だった。

 さらに、トランプ大統領は台湾への約140億ドル(約2兆2200億円)の武器売却について「(中国との)交渉の切り札になる」「承認するかもしれないし、しないかもしれない」「近いうちに判断する」と述べた。

 しかし、この問題に関してアメリカは1982年のレーガン政権時代、中国とは協議しないと台湾に約束している。また、トランプ大統領は台湾の頼清徳総統と自分が協議するとも明言したが、アメリカが台湾と断交した1979年以降、両国のトップが公にやりとりしたことはない。

 つまり、トランプ大統領は従来の外交慣行を無視した“掟破り”のディールを展開しているのだ。これらはすべてトランプ大統領の外交・歴史に関する“無知”に起因している。米中首脳会談で中国側に支持率低下やイラン戦争の長期化といった問題への対応に四苦八苦している足元を見られて主導権を握れず、ディールが思い通りに進まなかったから焦っているのだろう。

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