業績予想の上方修正で株価が急騰したフジクラ(時事通信フォト)
AI向けデータセンター投資の拡大を追い風に、電線大手のフジクラ株が異例の急騰を演じた。時価総額10兆円規模の大型株でありながら、6月19日と22日に2営業日連続でストップ高となり、東証は翌営業日の制限値幅を通常の4倍に広げる措置を実施した。なぜ巨大企業に買い注文が集中したのか。「制限値幅拡大措置」の仕組みとは。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」、森口さんが最新市況について解説する。
なぜ時価総額10兆円の大型株が「ストップ高」を連発したのか
日本の株式市場の歴史に残る、驚天動地のドラマが巻き起こりました。主役となったのは、生成AI(人工知能)特需を背景に快進撃を続ける電線大手のフジクラです。
6月19日と、週明け6月22日の2日間にわたり、同社株は2営業日連続のストップ高を記録しました。驚くべきは、同社がすでに「時価総額10兆円」の超巨大企業であるという点です。通常、これほどの時価総額の銘柄がストップ高を連発することは極めて異例です。今回は、この歴史的な爆騰劇の背景と、株式市場のルール「制限値幅拡大措置(4倍ルール)」の仕組みについて、個人投資家の視点から解説します。
一般的に、時価総額が数兆円~10兆円を超えるような大型株は、多くの機関投資家や個人投資家が売り買いを交錯させるため、値動きが安定しやすい(ボラティリティが低くなる)傾向があります。
時価総額数十億円規模の小型株のように、買い注文が偏って株価が急上昇するケースは滅多にありません。しかし、今回のフジクラは違いました。
5月14日の決算後一時半値まで下落していた(TradingViewより)
5月14日の決算発表以降で暴落とも呼べる株価下落を経験した後に、わずか1ヶ月で市場予想を超える「上方修正」を発表しました。通常、上方修正がここまで早く出てくることは稀なため大きなサプライズとなりました。
買い注文が殺到して「特別買い気配」のままその日の取引を終える、いわゆる「値つかずのストップ高」となったことで、事態は次のステージへと移行しました。ここで発動したのが、東京証券取引所(東証)が定める特別なルールです。

