似て非なるシールも続出している
「明らかに売れ行きは鈍っている」店員の実感
かつての品薄状態から需給バランスが逆転、市場に商品があふれる状態になったのは間違いない。その影響は販売現場にも表れている。都内のショッピングモールにある雑貨店で働くIさん(40代/女性)は、こう話す。
「店頭にシールを並べるようになって1年ほど経ちますが、明らかに売れ行きは鈍っています。周りにシールを扱う店が多すぎるんです。モールには100以上の店舗がありますが、今やアパレル店や食料品コーナー、家電量販店にもシールが並んでいます。話を聞くと、大人が買い物をしている間、子供が退屈しないためのグッズとして重宝しているのだとか。それで売上が上がれば一石二鳥ですよね。
一方で大量に仕入れたものの売れ残りを抱え、数か月前には高値で並んでいた商品が、今ではワゴンセールの常連になっている店もあります。ブームに乗って仕入れを拡大した店ほど、値崩れに苦しんでいる印象です」
トレンド情報に詳しいビジネス誌記者は、こう話す。
「シールを扱う店では、『SNS投稿禁止』という貼り紙をよく見かけます。これはSNSに入荷情報が流れて客が殺到し、混乱することを防ぐ目的ですが、“ニセモノ”を売っているのを発覚するのを防ぐためにやっている店もあると考えられます。模倣品を仕入れて摘発されるケースもあり、一刻も早く在庫を捌きたいという事情があるのでしょう。過去のキャラクター商品のブームでは、ブームに乗り遅れた業者が商品の大量廃棄に追い込まれた例があります。今回も同様の問題が起きかねません。
一方で、真正のボンドロに関しては依然として品薄状態は続いており、店頭に並んだという情報が流れれば、すぐに売り切れます。つまり、シール全体の人気が落ちているというより、“価値がある商品”と“そうでない商品”が選別されるフェーズに入ったと言えるでしょう。
今後のシール市場の行方は、ブームが沈静化していく中で“ホンモノ”だけが生き残り、コレクションやシール交換の文化は定着していくのでは。シールブームが終わるわけではなく、本当にシールを欲しい人が、本当に欲しいシールを買い集めて楽しむ時代に移行していくのではないでしょうか」
ブームの熱は落ち着きつつあるが、シールをめぐる選別は、むしろここから本格化していくのかもしれない。
