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ビジネス
導入20年「ご当地ナンバー」の現在地

「街をPRする絶好のチャンス!」導入20年を迎えた「ご当地ナンバー」の歩み 東京23区では“独立”が相次ぐ 「世田谷」新設時は一騒動も

かつて物議を醸した東京の「世田谷」ナンバー

かつて物議を醸した東京の「世田谷」ナンバー

 国土交通省は2026年4月、新たなご当地ナンバーと図柄入りナンバープレートの募集を開始した。これまで3回にわたって募集をしてきたご当地ナンバーは、自動車の登録台数要件が軽自動車を除き10万台以上という基準が設けられていたが、その要件が7万台へと緩和されたことを受け、埼玉県草加市や愛知県豊川市、島根県松江市といった自治体が手を挙げている。

 ご当地ナンバーはどのように始まり、受け入れられてきたのか、導入から20年となったいま、ライターの小川裕夫氏がレポートする。【前後編の前編】

ご当地ナンバーの「意義」は何か

 自動車を購入したら、自分の住所を管轄する運輸支局・検査登録事務所で登録手続きを行い、ナンバープレートを取得しなければならない。ナンバープレートには、登録地域の運輸支局または自動車検査登録事務所を表す地名が付されてきたが、2006年10月に「ご当地ナンバー」制度が導入されたことで、ナンバープレートに表示される地名のバリエーションは一気に拡大した。

 新たな地名がついたご当地ナンバーが続々誕生し、20年前の第1弾では宮城ナンバーから仙台ナンバー、同じく群馬ナンバーから高崎ナンバー、三河ナンバーから豊田ナンバー、石川ナンバーから金沢ナンバーなどが独立した。

 各地の自治体がご当地ナンバーの導入に熱心なのは、地域振興や自治体名をブランド化すれば大きなPR効果を狙えるからだ。

 ナンバープレートは、いわば走る広告塔でもある。例えば、全国各地を走り回る宅配便を運送するトラックやコンビニの配送車に、自分たちが住む街の名前が表示されていたら、大きなPR効果をもたらす。自治体名をPRしたところで何の意味があるのか、という疑問を抱くかもしれないが、自治体関係者は名前を知られることで地場産品が売れるようになるという期待がある。自治体にとって有名であることにマイナス要素はない。

 実際、筆者はご当地ナンバーの導入開始前後に多くの自治体関係者から話を聞く機会があったが、関係者は一様に「わが街の名前をナンバープレートにしたい。街をPRする絶好のチャンス」という意気込みを口にしていた。

 自分たちの懐を痛めずに自動車の所有者が進んでPRをしてくれるのだから当たり前といえば当たり前だが、少なくとも「ナンバープレートに採用されても効果なんてない」というネガティブな意見はなかった。観光地として有名な地域であるかどうかにかかわらず、少しでも自治体名とその存在をアピールできるなら、積極的に取り入れて当然だというのだ。

 どんな自治体でも存在をアピールしたり、ブランディングを意識したりするようになったのは、2008年5月から始まったふるさと納税も大きく影響しているだろう。納税者として、好みの返礼品が用意されているかということだけでなく、知名度が高い自治体のほうが選ばれやすい傾向があるからだ。

次のページ:物議をかもした「世田谷」ナンバー騒動
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