7~9歳は親に教わりながら、3つに予算分けを
ここまで高学年の話をしてきましたが、低学年のうちは、お金を「使う」「貯める」を覚えられればOKなので、費目の種類は3つのみにしています。低学年のうちは、もしかしたらおこづかいを渡さないという家庭もあるかもしれませんが、金融教育のためには、お金を使う機会が少ない年齢だからこそ、お金を扱う経験をすることが大切だと思います。
低学年での予算分けは、次の3種でOKです。一つ目は、GIVE。高学年同様、寄付のためのお金です。二つ目は、SAVE。こちらも高学年同様、貯金のためのお金です。そして三つ目が、SPEND(スペンド)。高学年と違い、「必要経費」と「浪費」には分けず、とにかく「使う」分になります。
たとえば、学校で使う鉛筆が必要なら、高学年になったらNEEDSから出しますが、低学年のうちはSPENDの予算から買っておこづかい帳に記録しておけばOKです。実際には、親が子どもの財布から支払うことも多いかもしれませんが、欲しい物があればいかもしれませんが、まだ親に相談する年齢。管理そのものは、大変でないと思います。
子どもによっては、お金を使う機会があまりないかもしれませんが、低学年のうちは「お金を使う、貯める」を経験し、お釣りなどのお金の概念を深めていく段階です。まだ親のサポートが必須の年齢ですが、小さいうちに金融教育を始めると、物の価値を考えるなどメリットも多いはずです。
「寄付」を予算に入れる理由
自分のために使うお金と合わせて「人のために使うお金」として、低学年から、GIVE、「寄付」を予算分けの費目に入れることを提案しています。
たとえば、100円で欲しいお菓子を買った子どもは「おいしい」「楽しい」など、それなりに幸せを感じますよね。では、同じ金額の100円を寄付して、困っている誰かの助けになれたなら、子どもはどれくらいの幸せを感じるでしょうか?
実は、「寄付」などの他者貢献、社会貢献をすると、幸福度が上がるという海外の研究があります。私は、人間は「本能的に人に何かを分け与えたいのではないか」と思っています。アメリカやイギリスなどに比べると、日本は寄付文化がない国といわれますが、それは「国民の幸福度が低いこと」と相関性があるのではないかと考え、逆説的に「寄付をすることで、幸福度が上がる」とも思っています。
東日本大震災をはじめ、自然災害による甚大な被害もある今、さまざまな目的の募金活動が増えて、寄付金額も多くなっているといわれています。ご存知の方も大勢いると思いますが「寄付をすることのメリット」は、とても多岐にわたります。心理的には「社会や人の役に立っている」という満足感、達成感、誇り、自己肯定感の高まりなどがあげられ、場合によって税制優遇などの経済的メリットも。お金の価値は、物価や経済状況だけでなく、人の感じ方や気持ちでも変わるということが、GIVEの予算分けの習慣から子どもに伝わったらとも思います。
そもそも募金活動は、自然災害を含めた環境問題、国内外の社会問題などへの支援を募っているわけですが、テーマは時代によって変わっていきます。子どもに「世の中のどんな問題に寄付したい?」とたずねて親子で考えたり、話を聞いてみたりすると、意外な問題に興味を持っているかもしれません。また、寄付先は決めずに貯めておき、大地震や洪水などの被害の大きい自然災害があったときに、寄付ができることを子どもに親が伝えてあげるのもいいでしょう。
世の中は「返報性の法則(人に何かしてもらったら、お返しをしようとする心理作用)」で成り立っているといわれますが、この法則にあてはめると、人のために使うお金は、いつか自分に返ってくるのではないでしょうか。GIVEがおこづかいの予算分けにあることで、助け合いの精神、無償の人類愛などを子どもに当たり前のこととして感じてほしいと思います。親子の話題にもして、子どもと一緒に寄付先を調べてみれば、社旗問題を知るきっかけにもなります。親子で一緒に寄付をしてみると、大人の方も満足感を感じるかもしれません。
*谷口達也・著『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』(飛鳥新書)より一部を抜粋して再構成。
▼▼▼第3回▼▼▼
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【プロフィール】
にぐ先生(谷口達也)/「なにも売らないFP」。1985年、岐阜県生まれ。株式会社マネーシフト代表取締役。大手証券会社を2社経て独立後、現在のFP法人を設立。主に金融教育事業を行っており、大人向けだけではなく、小中学生向けにも「おやこde資産形成アカデミー」という金融教育事業を展開中。全国規模の教育委員会から後援を受けたイベントとなり、オンライン授業で全国を対象に開催。受講者はのべ1万3000人(2024年12月時点)。これまで後援を受けた教育委員会は120自治体を超える。YouTubeチャンネル『【大人のためのFP教室】教えて!にぐ先生!』の登録者は10万人。