株価大幅下落の背景に何があったのか(時事通信フォト)
一時11万円を超えたキオクシアホールディングス(HD)の株価は半値以下の5万円台に急落。また米国で「特許権侵害」と訴えられ、巨額賠償命令がさらなる下落を誘った。訴訟の深層と裏に潜む急落の“真犯人”とは――。
大暴落のトリガーは韓国株市場
日本株の“主役”となってきたキオクシアHD株が暴落したのは7月17日のこと。同日、同社製品の一部が米企業の特許権を侵害しているとして米地裁が約371億円もの損害賠償の支払いを命じる陪審評決が伝わると、株価は前日比1万円下落のストップ安まで売り込まれた。これを受けて日経平均株価も歴代5位の下げ幅を記録し、市場は「キオクシア・ショック」に見舞われた。
ただ、今回命じられた賠償額はキオクシアの営業利益8703億円(2026年3月期)の4%強に過ぎない。業績絶好調の同社にとって重荷とはならないはずなのに、なぜこれほどの大暴落につながったのか。
「キオクシアをはじめメモリ業界全体に過熱感が高まるなか、需給を逆回転させた震源地は韓国にある」と、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が指摘する。
「韓国のメモリ大手のSKハイニックスとサムスン電子には個人投資家の資金が殺到し、5月にはこの2社を組み込んだレバレッジ型ETFが一気に16本も上場されるなど異例の事態に。7月10日にはSKハイニックスが米国上場したこともあり、世界的にレバレッジを利かせた過剰な投資が続くなか、日本では『韓国メモリ株の代理指標』ともされるキオクシア株にも波及。同社株は1単元(100株)で数百万円もするため、信用取引で買う投資家が急増して信用倍率(買い残÷売り残)が跳ね上がるなか、7月13日に韓国メモリ株が急落。さらに中国のDRAM最大手の長シン存儲(CXMT/チャンシンメモリ)、NAND最大手の長江存儲(YMTC/ヤンツーメモリ)といった中国メモリ勢の台頭も警戒感に拍車をかけた。
それを機に韓国から米国、日本へと逆回転が進み、そこに特許訴訟の評決という悪材料も重なって急落したわけです」
米国の訴訟がとどめを刺したとする見方だ。
