なぜ粉飾決算を見抜けなかったのか(全東信本社ビル)
クレジット決済代行会社の突然の倒産が、大きな波紋を広げている。街ではカード決済が突然使えなくなって利用客に混乱が広がるとともに、店舗側には多額の未回収金が発生している。さらに、発端となった倒産企業の20年以上にわたる粉飾決済も発覚。一体、何が起きていたのか。
20年以上にわたる粉飾決算が発覚
大騒動を巻き起こした全東信は2006年に設立された企業だが、そのルーツはミナミの飲食店が集まって1987年に発足した「大阪南飲食事業協同組合」にある。
「加盟のしやすさが売りで、高級店が並ぶキタよりも、小規模な飲食店や夜の店が多いミナミから広まっていき、加盟店が全国に拡大した。早期払いでつなぎの運転資金を確保したいと考える小さな店が多く利用してきたとされます」(地元記者)
全東信の破産で注目された特徴は金融債権者が63行(社)にも及んだことであり、同時に発覚した「20年以上にわたる粉飾決算」も関係者に衝撃をもって受け止められた。
破産申立書によれば、借り入れを維持・継続するために金融機関に対して良好な財務状況を示す必要に迫られ、決算書類に手を入れるようになったという。架空預金や架空債権、無価値な営業権の過大評価に加え、加盟店への未払い金を計上しないといった不正な会計処理による粉飾額は約630億円に及んだ。書類のうえでは良好な財務状態に見せかけていたが、実質的には大幅な債務超過の状態にあり、事業が継続できないまでに追い込まれて今回の倒産に至ったというのである。
信用調査会社・東京商工リサーチ情報部の本間浩介氏が言う。
「同社の決算資料などを遡って調べると、不自然な点が複数あります。設立当初の資本金9000万円から増資を重ね、2022年3月には45億円、発行済み株式数は6万1800と急拡大しています。代表者1人が全株を保有していますが、確認できる役員報酬額は年間数千万円程度で、増資を実現するほどの資力があったのかは疑問です。グループ内での営業権や不動産の売買など、目的が不明確なやり取りも散見されます」
