ハーバードが徹底する「高校の成績」と学力の見極め
一方で、ハーバード大学などの最難関私立大学はどうしているか。SATやACTなどの学力テストのスコアは任意で提出、つまり「出しても出さなくてもよい」としている。しかし、実際にはスコアを出している学生が合格しやすい。それはそうだろう。「学力テストのスコアを出しても出さなくてもいい」といえば、スコアの点数に自信がある学生しか提出しないからだ。
ハーバード大学は高校の成績を細かく分析していることで知られる。「この高校でこの成績ならこの学力」という部分をきめ細かく見極めている。公立名門のカリフォルニア大学の場合、高校をランクで分け、それに沿って成績を評価しているが、私立名門のハーバード大学はさらに細かく見ている。日本の高校生がハーバード大学に合格するとしても、最難関高校の生徒が多いのは、大学が日本の高校の評定平均値の示す学力を分析しているのだ。
「ハーバード大学は予算があるから入試専門官が入試業務に専念し、きめ細かく選抜している」といわれるが、その入試専門官がやっている主な作業の一つが「この高校でこの成績ならこの学力」ということの分析なのである。そして、その丁寧な高校の成績の分析に加えて、SATやACTといった学力テストのスコアも加味していけば、世界でもトップレベルの学力が高い学生を選抜できる。
日本の大学入試はより学力重視の方向へ
神戸大学の「志」入試は総合型選抜で、1次審査で書類審査やペーパー試験、2次試験で面接や口頭試問(対面で質問をし知識を確かめる)、プレゼンテーションなどで最終合格者を決めていく入試だ。学生の能力を多面的に評価していく理想的なものだ。
終了する理由として「一部の教員からは、実施のための負担が大きい割に定員も少なく、効果が上がっているのか、という声も上がっていた」と報じられている。つまり、教員の負担が大きいわりに、期待したような学生が入学してこなかったということではないだろうか。忙しい中、教員が手間をかけて模擬授業や面接をするのだ。一般選抜の入学者とは違うアカデミックなセンス溢れる学生に入学してほしいと願ったはずだが、実際にはそうはうまくいかなかったのかもしれない。
筑波大学がAC入試という総合型選抜をしている。評定平均値を評価に入れず、探究学習の成果重視の試験で知られるが、どんどん実施する学部は少なくなってきた。
一方で、難関国立大学の総合型選抜も、東北大学や北海道大学のようにしっかりと学科試験を課し、学力中心のものは順調に見える。東北大学はAO入試(総合型選抜)を「学力重視」と明言している。
現状、学力重視の推薦・総合型選抜の方がうまくいっているように見えよう。
首都圏の私立大学で学科試験重視の総合型選抜「年内学力入試」が拡大しているのは、その試験を経て、基礎学力が高い学生が入学してくると判断しているからだ。
大学側が求める「学力が高い学生に入学してほしい」という現実的な方針と、メディアやインフルエンサーが指摘する「学力以外のもの。探究学習や活動実績が大学入試で評価されます」というイメージには差が大きいのだ。
▼▼▼前編記事▼▼▼
【はじめから読む→】京都大・神戸大など、難関国立大学の総合型選抜が続々と廃止 「推薦入試の拡大」報道と現実の乖離はなぜ起きるのか
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。
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