大学側が望むのは「学力のある学生」(イメージ)
京都大学は2028年度入学試験から理学部の受験生を多面的に評価する総合型選抜、「特色入試」の数理科学入試を廃止すると発表した。神戸大学も総合型選抜「志」特別選抜の募集を2027年度入試をもって終了する。推薦・総合型選抜が広がると報じられるなか、「探究活動や課外活動が評価され、学力の重要性は下がる」と語られることも多い。しかし、米国では学力テストを選抜から外した大学が学生の基礎学力不足に直面し、日本でも学科試験を重視する総合型選抜が存在感を増している。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』がが話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の後編】
学力テストを外したカリフォルニア大学で起きた「数学力不足」
神戸大学が2027年度入試をもって「志」特別選抜(共通テストを課さない総合型選抜)の募集を終了すると発表した。これは日本の大学入試の「今」を象徴している。
今後、日本の大学の入試も推薦や総合型選抜が拡大していくのは確かだ。しかし、その内容はメディアやインフルエンサーが指摘するような、「学力以外のもの」を評価される入試ではない。
大学が求めるのは「入学後、真面目に勉強をしてよい成績をとり、就職や進学をしていく」学生だ。入学後、勉強をするためには学力が必要だ。
今、「学生の学力という問題」で頭を抱えているのが、アメリカの州立カリフォルニア大学である。州内にいくつかのキャンパスを有し、ShanghaiRanking(ARWU)の世界大学学術ランキングでは、バークレー校が5位とロサンゼルス校が16位。世界のトップ大学だ。
そのカリフォルニア大学で、学生たちの数学の学力が足りず、留年者が増えていると報じられた。そうした事態に教員たちが頭を抱えているというのだ。
なぜ、そうなってしまったのか。アメリカの大学入試はすべて総合型選抜である。多くの大学は高校の成績で合否を決める。難関大の場合、世界中から「高校の成績はオール5」という学生が出願してくるので、差がつかない。そのため、SATやACTという共通学力テストのスコアを合否の参考にしてきた。「高校の成績と学力テストの得点」の両方を見るのがアメリカの難関大入試なのだ。ところが、コロナ禍で学力テストができなくなり、そのため、大学の入試でSATやACTのスコアを見なくなった。
カリフォルニア大学は学力テストを加味しなくなった。これが「留年者が増えて困る!」という状態を生み出したというのだ。そのため、教員たちが「学力テストSATのスコアを提出させ、合否の判定に使用してほしい」と訴えているのだ。
ようは高校の成績だけでは学生の学力は十分に把握できないということだ。
