家族ぐるみで築く“トランプ帝国”(イラスト/井川泰年)
トランプ大統領のファミリー信託が今年1~3月に3000回以上もの証券取引を行っていたことが明らかになり注目を集めた。そうした地位を利用した行動は「利益相反」にあたるのではないか、との指摘もある。トランプ氏の「不正蓄財」疑惑について、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。
株や不動産取引、暗号資産関連事業でも
トランプ大統領の公私混同・権力濫用による「不正蓄財」疑惑が拡大している。
たとえば、アメリカ政府倫理局が開示した資料によると、トランプ大統領のファミリー信託は今年1~3月(第1四半期)に3711件の証券取引を行ない、取引総額は最大およそ1200億円に上ることがわかった。同信託が売買した証券はアップル、アマゾン、エヌビディア、マイクロソフト、メタなどアメリカを代表する大企業が中心で、くら寿司の子会社「くら寿司USA」も含まれていた。
また、トランプ大統領は7月5日に導入した子供の資産形成を支援する税制優遇プログラム「トランプ口座」に62億5000万ドル(約1兆円)を拠出したコンピューターメーカー「デル・テクノロジーズ」の創業者夫妻を称賛し、「デルのコンピューターを買いに行け」と国民に呼びかけた。大統領自身も今年1~3月にデル株を100万ドル(約1億6000万円)以上購入。同社の株価は同期間に230%上昇したという。
同じくトランプ口座に拠出した半導体メーカーのインテルもトランプ大統領の推薦を受け、同社の株価は年初来で217%上昇した。やはり大統領自身も今年1~3月にインテル株を1000ドル(約16万円)から1万5000ドル(約240万円)相当購入している。
エヌビディアやマイクロンなど他の大手テック企業もトランプ口座に拠出し、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXも同社の200万株を寄付すると表明した。
さらにトランプ大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」の運営会社は投稿内容にいち早くアクセスできるサービスを投資家向けに販売すると発表。同社の筆頭株主は大統領の親族だ。
これまでアメリカ大統領は、就任時に自分の所有資産を第三者に白紙委任信託(ブラインド・トラスト)するのが慣例で、歴代大統領はみなそうしてきた。
しかし、法的な義務はないので、トランプ大統領はそれを行なっていない。大統領による株式の保有や取引は禁じられていないが、大統領の政策が株価や企業業績に影響を及ぼす可能性は否定できない。
