豊丸産業が最後にリリースした「遊moreLTPエガブレイブVVV」(公式ホームページより)
人気シリーズの新作の導入を優先したいホールの思惑
そんな豊丸産業は、どうしてパチンコ事業から撤退することとなったのか。パチンコ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が解説する。
「パチンコの市場規模はピークの1995年頃で30兆円程度と言われていましたが、現在はその半分ほど。コロナ禍を経てパチンコホールも大きく減少しています。さらに、昨今はパチンコよりもパチスロの人気が高く、パチンコの設置を減らしてパチスロを増やすホールも多い。パチンコメーカーにとっては、かなり厳しい状況が続いています。
そういった中で、ホールとしては『エヴァンゲリオン』シリーズ(ビスティ)、『海物語』シリーズ(三洋物産)、『牙狼』シリーズ(サンセイR&D)、など、集客力のある定番の人気シリーズを重視し、それ以外の機種の導入数が減少する傾向があります。豊丸産業には、『エヴァ』や『海物語』のようなメガヒット級の人気シリーズがなく、なかなか遊技機が売れない現実もあったようです」(以下「」内同)
人気シリーズの新作の導入を優先したいというホールの思惑が、中小メーカーを苦しめている側面もある。
「集客力の高い人気シリーズの新機種は、同じメーカーの他の機種を購入したホールに優先的に販売されるという傾向があります。つまり、ホールがA社というメーカーの『B』という注目機種を導入するには、A社が出している『B』以外の機種を買わなければならない。そのメーカーの機種をどれだけ購入しているかを“機歴”と呼び、その“機歴”を積むことで、人気機種を多く購入できるということです。
そうなると、ホールには機歴となる機種が多く設置されるようになり、人気シリーズを持っているメーカーのシェアが高まっていく。その結果、豊丸産業のように、集客力高い人気シリーズを持っていない中小メーカーが入り込む余地がなくなっていくわけです」
