経営者たちは「飲食料品の消費税1%」に賛成か、反対か(左からサントリーHDの鳥井信宏・社長、ローソンの竹増貞信・社長)
高市早苗・首相が強行突破で実現へ向かおうとする飲食料品の消費税減税は、一見、物価高対策であるとともに、食品メーカーや小売業界などの企業が恩恵を受ける政策に見える。しかし、影響があると考えられる業界の経営者たちに取材すると、歓迎だけでなく懸念の声も多く聞こえてきた。本誌・週刊ポストが行った大手企業の社長への緊急アンケートから見えてきた問題点とは――。【全文】
引き下げは円安や金利上昇の圧力に
高市首相は、「公約に掲げて戦った以上、その実現に国民の期待が高い」と野党や自民党内の反対論を押し切って来年4月1日から2年間限定で飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げると発表した。
国民は長引くインフレによる節約志向で家計の実質消費支出は7か月連続マイナス。国民にとって、生活に欠かせない飲食料品の価格が下がるとすれば朗報のはずだが、「原材料費や人件費の高騰で値上げが進み、価格はほとんど下がらない可能性がある」という指摘も多い。
一方、飲食料品メーカーや小売業界はどう見ているのか。個人消費が伸び悩むなか、減税で売れ行きが伸びるのは歓迎のはずだろう。
ところが、不安のほうが大きいようなのだ。
本誌は税率引き下げでメリットを受けると思われる小売業界大手と代表的な飲食料品メーカーなどの経営者たちに「消費税率1%」への引き下げに賛成か反対かをアンケート形式で質問し、匿名を含めて10社の経営者から回答を得た。
はっきり「反対」と回答したのはサントリーホールディングス(HD)の鳥井信宏・社長だ。理由をこう述べている。
「消費税減税は、家計の購買力を一時的に下支えする一方で、社会保障の安定財源を損ない、財政への懸念を通じて円安や長期金利の上昇圧力となる恐れがある。当社としては、プラスとマイナスの影響があると考えているが、我々がお世話になっている外食産業においては、外食の利用控えなどが生じ、マイナス影響が大きいと考えている。
また、外食産業に限らず、幅広い事業者において価格表示やシステム対応などの負担が発生することから、制度変更に伴う現場への影響については十分な配慮が必要である」
キリンHDの南方健志・社長も消費税減税について「慎重な判断が必要」とし、こう理由を述べた。
「物価高の影響を受けやすい層への支援として一定の意義がある一方、外食産業への影響を最小化する施策検討や、持続的で公正な税制の早期転換が必要と考える」
小売業界ではコンビニ大手ローソンの竹増貞信・社長も「消費税は高齢化で膨らむ医療・介護・年金財源を支える柱の1つであるため、減税するのであれば穴埋め財源を明確に示すなど、将来世代への先送りにならないよう、慎重に議論を進める必要がある」と慎重な姿勢だ。
一方、「賛成」と回答したのは3社だった。
