近年値上がりする葬儀費用
さまざまなものが高くなっている昨今ですが、葬儀の価格も近年値上がりしています。鎌倉新書によると、2年前の調査結果と比較して葬儀費用は2.52万円上昇しています。
総務省統計局が発表している、全国の世帯が購入する商品やサービスの価格の動きを測定した指標である「消費者物価指数」というものがあります。
あまり知られていませんが、2020年に採用された582品目の一つとして、「葬儀料」が新たに加えられました。背景には、購入回数はとても少ないが生活上無視できないほどの出費を伴うこと、葬儀の小規模化が進み、地域ごとの価格差が縮小傾向にあることなどが挙げられています。
2020年の葬儀料を100とすると、2026年6月の葬儀料は107.2です。ざっくり言うと2020年に10万円だった棺は、現在10万7,200円になっているということです。同期間の消費者物価指数全体の変化率は113.6なので、全体と比べるとゆるやかではありますが、インフレ(値上がり)傾向にあるのです。
大きな要因はご多分に漏れず、人手不足と円安でしょう。
死亡者数の増加により葬儀件数は増える一方で、労働人口は減っています。人はいつ死ぬか分からないため葬祭業は24時間営業で、かつ遺体を運ぶなど重労働です。必然的に元気な若い労働力を必要とするのですが、その確保は年々難しくなっており、人件費は上昇しています。
また棺はアジアからの輸入が中心で、祭壇に使う花も一部は輸入に頼っています。そのため円安になると必然的に値上がりします。これらが葬儀価格に反映されているのです。
このように人件費や物品は値上がりしているのですが、消費者の賃金の上昇率はゆるやかです。そのため葬儀社側は、全てのコストアップ分を葬儀費用に反映させるわけにもいかず、利益を削りながら徐々に値上げしているという印象です。
私の実感としてもコロナ期に底を打って、ここ数年は低価格を売りにしている直葬(葬儀を行わず火葬だけを行う)といえどもジリジリ値上がりしています。
とはいえ、必ずしも価格上昇分が消費者の支払う葬儀費用に転嫁されているとは言えません。ホテル代が値上がりすれば、より安いホテルや部屋を選ぶ人が増えるように、出費を抑えるためにランクを下げるという消費行動が起こりやすくなります。葬儀の場合なら、棺は安いもので我慢するとか、葬儀をやめて直葬にするという消費行動のシフトが起こっている可能性は高いでしょう。