半導体業界の構造を元キオクシアの研究開発者が解説
AIの急速な普及による需要拡大で大きな注目を集める「半導体」業界。日本における代表格とされる半導体メモリ大手・キオクシアホールディングスの時価総額が一時、国内トップとなるなど、投資先としても一大ブームになった。ただ、半導体関連と一口に言っても、その技術は複雑で裾野は広い。どこに着目すればいいのか──「元キオクシア研究開発者」という経歴の億り人が指南する。
投資にも活かされた技術者としての経験
「半導体の研究開発は未知の現象を分析して仮説を検証し、膨大なデータのなかから答えを見つける分析能力が求められます。それが株の世界でも、会社の業績を分析し、決算書のデータなどにどう表われるのか、将来どれくらい伸びるのかといった分析に生きています」
そう語るのは、元キオクシアの半導体研究開発者でYouTubeチャンネル「もふもふ不動産」などを運営する投資家のもふ(菊地夏紀)氏だ。同氏は2003年にソニーに就職後、東芝に転職してキオクシアの前身である東芝のメモリ事業部に配属。2010年から世界最先端の3次元構造のフラッシュメモリの開発に従事して、「世界初の48層3次元フラッシュメモリの開発に携わりました。2015年に世に送り出し、iPhone7にも搭載された」という。
その傍らでソニー時代から株式投資を始めたが、リーマン・ショックで痛手を負ったのを機に勉強し直し、手元に残った300万円で本格的に投資を開始。東芝を退職した直後の2020年に“億り人”となり、株式で累積利益は約2億円、不動産投資で投資総額9億円など、資産を築いた。まさに、投資先としての半導体業界を解説するに打ってつけの人物と言えよう。
今でこそ技術者としての知識が投資にも活かされているが、「半導体は長年、斜陽産業で、投資先として誰も見ていなかった」と振り返る。実際、キオクシアも上場前の2023年3月期と2024年3月期に2期連続の赤字を計上するなど不振に喘いでいたが、AIの登場で激変。膨大なデータ処理に不可欠な半導体が一躍脚光を浴び、2026年の世界の半導体市場は前年比90%増と過去最高の成長率で、市場規模は初の1兆ドルを突破する見込みとされている。その象徴が、同氏の“古巣”である半導体メモリ大手・キオクシアである。
2024年12月に上場したキオクシアの初値は1440円。株価は上場後1年で1万円台に達し、特に今年に入ってからは「AIブームの申し子」として急騰。6月には一時、上場時の70倍超となる11万円台をつけた。
「上場時の株価は割安だったので分散投資先の1つとして保有し、自分のYouTubeでも、AIにはキオクシアの手がけるNAND型フラッシュメモリが必須なので、“キオクシアは第2のエヌビディアになるか”といった動画を出したりしました」(以下、「」内コメントは菊地氏)
こうして技術者の視点で先を読み、投資先を選ぶのが菊地氏ならではの投資術である。そこで、同氏の解説をもとに、半導体業界の構造と市場の注目の変遷を別掲図にまとめた。
