官邸中枢のパワーバランスに変化(高市早苗・首相/時事通信フォト)
高市早苗・首相の「増税派パージ」人事は霞が関を震撼させたが、財務官僚たちが遠ざけられる裏で「我が世の春」を謳歌しているのが、今や官邸を牛耳る経産官僚たちだ。“省の中の省”と呼ばれた財務省に取って代わるかたちで、一体何を進めているのか。浮かび上がってきたのは“税金の大盤振る舞い”という内実だった。【全3回の第1回】
官邸で存在感が高まる経産官僚出身の首席秘書官
高市首相の財務省パージ人事により、官邸中枢では経産官僚が実権を握った。その中心は、総理首席秘書官を務める飯田祐二・元経産次官。官邸5階の首相執務室の近くにあり、高市首相が1人で籠もって資料を読んだり、タバコを一服してリラックスする“秘密部屋”と呼ばれる小部屋に入ることができる数少ないメンバーの1人とされ、首相の信頼が厚い官僚だ。
経産官僚出身の首席秘書官といえば、安倍晋三・首相の「懐刀」と呼ばれた今井尚哉氏(現内閣官房参与)や岸田内閣の嶋田隆氏が知られるが、飯田秘書官が高市首相に気に入られているのはその仕事スタイルにあるようだ。
官邸取材経験が豊富なベテラン政治記者が語る。
「安倍内閣の今井秘書官は時には総理と激しく意見を戦わせながら体を張って政策を実現させるスタイルで、対照的に岸田内閣の嶋田秘書官は指示された仕事を淡々とこなすタイプでした。
現在の飯田秘書官は嶋田さん以上の指示待ちタイプ。総理に呼ばれれば意見が書き込まれた資料を取りに秘密部屋に行くし、自身も資料を吸い上げて総理に報告する。そういった指示通りに動き、決して反対意見を言って刃向かうことがない側用人のような姿勢が、ワンマンの高市さんにとっては使い勝手がいいのでしょう」
官邸ではそんな飯田秘書官の存在感が高まっているのだという。
「高市総理は官僚嫌いで、各省庁から派遣された事務秘書官たちは首相とコミュニケーションを取ることができていない。そのため、総理と直接話ができる飯田秘書官が高市さんの指示や意向を伝える。経産省から来ているもう1人の香山弘文・秘書官は将来の次官と見られている超エリートですが、総理より飯田秘書官のほうを向いて仕事をしている。他の秘書官たちもそうです」(同前)
官僚嫌いのワンマン総理だからこそ、“イエスマン”の飯田秘書官が「側用人」的に影響力を強めているようなのだ。
