最期を迎える前に準備しておきたいことは(イメージ)
人生終盤戦は夫婦どちらかに何が起きてもおかしくない。10年後、果たして夫婦は揃って生きているだろうか──そういった不安が現実的に感じられるからこそ、まだ体が動く“最後の10年”は、お互いの「その時」のために準備をし始めるタイミングだ。そして、「最後の10年」の先にあるのが、「残り1年」。この段階になったら、どんな準備をすべきなのか。夫婦でできる正しい備えを考える。
意思の疎通が難しくなる前に
お互いに体が十分に動く段階ならともかく、「残り1年」になると状況は大きく変わる。行政書士の中田多惠子氏が指摘する。
「『最後の1年』は判断能力や体力、気力が緩やかに衰え始めている段階です。10年前のようにゼロから新しい施設を吟味して契約したり、大掛かりに生活環境を変更したりすることは体力的に難しい。残り1年は10年前から夫婦で準備してきた計画の最終確認と見直しを実行し、現在の穏やかな環境を維持することに注力する時期です」
訪問診療専門医で心越クリニック理事長の岩間洋亮医師師は「残り1年」の現実的な身体状況をこう語る。
「ひとりで外出できない、食事や排泄、入浴に介助が必要になるようなら、残りの時間は1年ほどに限られていると判断します。病気によっては最後の3か月ほどでガクッと動けなくなるケースもありますが、いずれにせよ最期が近づくと誰でも意思の疎通が難しくなりやすい。その前に夫婦で準備をしておくことが大切です」
半年後にはできないことが増えているかもしれない。それを前提に、動けるうちにやるべきことを済ませておきたい。まず財産面では、銀行口座、有価証券、保険、不動産などを確認し、変化があれば財産目録を更新する。
「残り10年の期間中に作成した遺言書がある場合、その後の環境や気持ちの変化で内容にズレが生じていないかを夫婦で確認し、必要に応じて書き換える。公正証書遺言を作成している場合は、公証役場から交付された正本や謄本が自宅のどこに保管されているかも再確認しておきましょう」(中田氏)
近年、見落とされがちなデジタル資産の整理も欠かせない。
「ネット銀行やネット証券はIDやパスワード、口座情報をメモに残し、夫婦間や家族で共有することを勧めます」(同前)
