投函がなくても郵便ポストの中身を確認しなければならない(イメージ)
6月に成立した改正郵政民営化関連法は、経営悪化が深刻化している日本郵便に対して、「赤字を垂れ流し続けてもいいからやり続けろ」と命じるような規定になっている。今の日本において、病院や公共交通機関、学校などあらゆる社会インフラが廃業・撤退している中で、郵便局だけを人口減少地域の“最後の砦”として特別扱いすることは現実的なのか──。ジャーナリストの河合雅司氏が、今後の郵便事業の在り方を考える。【前後編の後編。前編記事から読む】
「投函ゼロ」でも毎日「無かった」事実を確認する非効率
日本郵便の経営がいかに時代に合っていないかは、データが証明している。
人口減少が深刻化し、さらに郵便取扱量が著しく減っているにもかかわらず、2026年5月末現在の郵便局数は2万4112に上る。これは民営化時の2万4540と大差がない。鉄道・バス路線や小中学校などが人口減少の影響を受けて廃止や縮小、統廃合を進めているのとは対照的だ。
非効率な仕事ぶりは、郵便ポストをめぐる業務実態を知れば理解できるだろう。2022年度末時点の郵便ポスト数は17万5145本だったが、このうち4分の1は1カ月あたりの投函数が30通以下だ。3.9%にあたる6793本は月の投函数が「0~1通」である。
1通の投函が無かったとしても、その「無かった」という事実を確認しなければならないのである。日本郵便はそうしたエリアにも要員を配置する必要がある。
3.9%にあたる約6800本は1か月あたりの投函数が「0~1通」
こうした現実を直視せず、郵便局が背負う荷物を軽減するどころか、新たな荷物を背負わせることにしたのが今回の改正法である。“最後の砦”として位置付けるということは、厳しい言い方をするならば、日本郵便に「赤字を垂れ流し続けてもいいからやり続けろ」と命じるようなものだ。
これでは“最後の砦”としての役割を求められるほうは大変である。

