「頭の体操」──あえて“極論”を提示する
2005年の郵政民営化法成立時には、デジタルによる通信手段がここまで普及するとは考えられていなかった。人口減少の影響も十分に織り込んでなかった。人口が激減していく日本で現行の郵便事業を続けようとしても早晩行き詰る。ましてや地方の延命装置としての役割まで郵便局に担わせたならば、郵便事業そのものの破綻を招きかねない。
人口減少社会に即した郵便事業の在り方を考えなければならないということだ。そこで頭の体操として、あえて極論を述べよう。
1つは日本郵便からユニバーサルサービスの義務を外し、一般的な民間企業にすることである。この場合、郵便サービスが届かないエリアが生じるが、日本郵便の経営が立ち直って自立する可能性は格段に大きくなる。経営が身軽になれば、郵便料金の引き下げや新サービスの展開もできるようになるだろう。
もう1つは、その逆で郵便事業を完全な国営化へと戻すことだ。この場合、どんなに人口が減った地域でもユニバーサルサービスは維持される。一方で、税財源を必要とし、郵便を利用しない人も含めて国民の負担が増える。また、事業が国に独占されるためサービスの劣化を招く恐れがある。
郵政民営化から20年近くが経過し、社会情勢は大きく変わった。いまや郵便事業の何を残し、何を切り捨てるのかが問われている。頭の体操である2つの極論がベースとなるのか、あるいは第3、第4の選択肢が登場してくるのかは別として、国民的な議論が求められる。
■前編記事から読む:【郵便局の持続可能性に国も危機感】歯止めがかからぬ日本郵便の収益悪化、法改正の“延命策”がさらに赤字を拡大させかねない袋小路
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、東京財団シニア政策オフィサー、高知大学客員教授、奈良先端科学技術大学院大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。