対立激化で中国からの供給が制限されたら?
同様に日本や欧州も一定の設備投資を取り込み、世界の生産能力がより多極化する方向です。つまり、仮に将来、米中対立が一層深刻化して、中国からの供給が制限されたとしても、他地域で代替生産が可能となる体制が整いつつあるのです。
各社も調達先の多様化や在庫積み増しなどリスクヘッジ策を講じており、半導体産業全体として、安定志向へ移行しつつあるといえます。特にコロナ禍以降、サプライチェーンの安定度が増しているのは、現場にいる新川も肌で感じていることです。
以上の動向を踏まえれば、米中の「半導体戦争」があるからといって、過度に心配する必要はありません。
確かに、政治的な駆け引きは今後も続くでしょうが、その一方で市場原理に基づく需要拡大と供給網の適応努力が着実に進んでいます。
投資家にとって重要なのは、この構造的な成長トレンドに乗りつつ、リスクを回避するバランスを取ることです。
米中対立の中で恩恵を受けるのは
桶井と新川がタッグを組んだ新刊『3倍・5倍・10倍の神株が続出! 半導体株&AI株 投資大全』でお勧めする投資の基本方針は、「中国企業への直接投資は避けつつ、米国・台湾・日本などの西側同盟国サイドの成長株を選ぶ」戦略です。
これは、現在の半導体業界の状況と矛盾しません。むしろ、米中対立の中で恩恵を受けるのは、自国での需要拡大や政府支援を背景に成長が見込まれる米国・台湾・日本の企業であり、それらに注目するのは理にかなっています。
たとえば米国の製造装置メーカーや設計会社、台湾のファウンドリ、日本の材料・製造装置メーカーなどは、世界への分散投資の追い風を受け業績拡大が期待できます。一方、中国企業は技術的・地政学的リスク要因を抱えるため、無理に手を出す必要はなく、当面は様子見でよいでしょう(中国市場から間接的に利益を得る西側企業に投資するのが賢明ということです)。
また、実際の資産運用では、私たち個人投資家が投資しやすいかどうかという視点からも考える必要があります。