田代尚機のチャイナ・リサーチ

銅価格が上昇見通し EV普及、インド成長等で需給逼迫も

クリーンエネルギーへの転換で長距離の電力輸送が必要に

 現在、世界中で環境問題が重視されているが、自動車の脱石油化が急速に進もうとしている。中国では国家戦略として電気自動車(EV)の普及を進めている。フランス、イギリスは2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表しており、ドイツでは補助金政策などを通じ、電気自動車の普及が進む。電気自動車では、電気モーター内の巻き線や各種の配線に銅が大量に使用される。

 電力面では、グローバルでクリーンエネルギーへの転換が進んでいる。中でも風力発電の拡大が期待されるが、条件の良いところは都市部周辺ではなく、山間、砂漠、海上などが多い。そのため、長い距離の電力輸送が必要となり、銅の消費量も高まる。

 電力以外では、電気自動車の普及に加え、IoT(モノのインターネット)革命の進展によって電子機器の生産が増えるだろう。これらも、銅需要の増加につながっていくだろう。

 投資について考えるならば、銅先物に投資する選択肢もあるが、これはやや長期的なスパンで考えなければならない。株式投資ならば銅価格上昇の恩恵を受けやすい銘柄として、三菱マテリアル(5711)、三井金属(5706)、住友金属鉱山(5713)といった日本株、中国株なら江西銅業(H株、00358)などが挙げられる。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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