中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

内定辞退なんて夢のまた夢? 「就職氷河期」時代の女子学生の苦労

 人気企業はすでに彼が使ってしまっていますが、大企業の子会社やそれほど人気のない業種であればハガキは使っていない。よくあるじゃないですか、「三菱」とか「みずほ」とか「野村」とか「富士通」とかが社名の頭についていて、その下に「システム株式会社」とか「販売株式会社」の名前がついている会社が。

 そういった会社に片っ端からハガキを出すのですが、「数打ちゃ当たる」というものでもない。全体の採用数が少ない上に、「女から来たよ……」的に返事は一切来ないことが多い。彼女は「300社には出したけどね……。本当に戻ってきた数は少なかった……」と言っていました。結果的に住友商事系の専門商社に入ることができましたが、一般職での入社です。

 しかし、当時は一般職で入れただけでも御の字でした。というのも、事務系の仕事は派遣社員や契約社員でまかなおうというブームが始まり、一般職の採用そのものが少なくなっていたのです。そして、インカレサークルに入ることは当時の女子学生にとっては就活の面を取っても死活問題になっていたのでした。

 こうした時代があっただけに、今年、内定辞退率が64.6%といっても企業に対しては「アンタ達が過去に採用を縮小しまくったツケが来てるだけでしょ?」といった気持ちを抱いてしまうのでした。そして、また景気が悪くなると採用数は縮小されるわけで、「内定をなんだと思っているのだ!」と今年の学生を安易に批判するのはお門違いです。ようやく学生もあの悪名高き「お祈りメール」を企業に対して出せるようになったのです。

「この度は残念な結果になりましたが、貴社のますますのご発展を心よりお祈りいたします」

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