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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

名刺を持つのはダサいし交換も意味ナシ? 名刺を巡る新潮流

名刺交換は古い文化になりつつある?

 名刺はビジネスマンにとって必須アイテムと長年にわたって言われてきたが、昨今、そのあり様は変わってきているようだ。新入社員時代から名刺を持つようになって20年、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、現在の東京のIT業界における名刺事情をリポートする。キーワードは「ダサい」「SNS」「恥ずかしい」だ。

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 かつて名刺を忘れたり切れたりしていた場合、その人は血相を変えてペコペコしながら「ほんっとぉぉぉに申し訳ありません! 新しいのができましたら郵送させていただきますっ!」と言い、本当に郵送してくれました。「あなたの連絡先知ってる人は他にいるから大丈夫ですよ。この世の終わりみたいに思わないでください」と言いたかったのですが、それぐらい名刺はビジネス上においては重要とされていたのでしょう。

 しかし、昨今感じるのはIT業界やフリーランスに顕著なのですが、「名刺を持っているのはダサい」という風潮です。まぁ、確かに大の大人2人がペコペコし合ってはどちらが先に受け取るか、どちらがより下から名刺を出すかの勝負をするというのはバカバカしいビジネスマナーです。そんなのどうでもいいからさっさと受け取れよ! 会議開始が遅くなるでしょうよ……と傍から見ていたら思うのですが、まぁ、ビジネスマンの様式美としては伝統芸能的なものになっております。

 広告代理店の打ち合わせなどに行くとなぜか相手は12人ぐらい人がいて、名刺交換の列ができたりする。もはや名前の覚えようもないのですが、「お世話になります、本日はありがったーした……、なにとぞゴニョゴニョ……」みたいなお互い何を言ってるのかよくわからないやり取りをします。こちらが5人いた場合、そこで交換される名刺は実に120枚! そして、60回ものゴニョゴニョ挨拶が展開されているわけです。地方出張に行ってもやはり名刺交換はいまだに花盛り。途中で枚数が切れてしまった時、こちらだけがもらう都度、謝罪をするのも正直わずらわしい。

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