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ネットの誹謗中傷 情報開示にかかる費用は50万~80万円ほど

書き込んだ人を特定したいなら早めに行動すべき

 ただし、注意しなければならないのが“時間”である。掲示板の運営会社からのIPアドレスの開示に1か月~1か月半。プロバイダーからの契約者の情報開示に半年~8か月ほど、かかるという。

 また手続きは個人でもできるが、弁護士に依頼するのが現実的だろう。

「プロバイダーなどは基本的に情報開示を拒否します。その場合、開示を求める裁判が必要となる。しかも、通信記録が保存されている期間は一般的に3か月程度と短いため、素人では時間切れとなってしまう可能性が高い。費用は50万~80万円ほどかかりますが、弁護士にお願いすることをお勧めします」(清水弁護士)

 実際に書き込んだ人を特定した場合、どれくらい慰謝料を手にすることができるのか。

「名誉毀損なら50万~100万円、プライバシー侵害なら20万~50万円くらい。また特定までにかかった費用の賠償も認められるでしょう。ただし、金銭的なメリットは少ない」(清水弁護士)

 だが、書き込んだ人を特定して、相手に慰謝料を請求することは抑止力となり、自分や家族を守ることにつながる。決して無駄なことではない。

 2014年、フリージャーナリストの李信恵さんが、『保守速報』という嫌韓系の話題が多いまとめサイトの運営者に損害賠償を求めた裁判も、お金以上の目的があった。

 同サイトは、在日韓国人という彼女の自身の出自に関して、差別的な書き込みをたびたび掲載。2017年11月、大阪地裁は李さんの訴えを認めてサイトの運営者に200万円の賠償を命じた。

「被害が認められてほっとしている。ネットにはフェイクニュースやデマが溢れている。判決が自浄効果をもたらせばいい」

 地裁の判決後、李さんはそうコメントし、ネット上に氾濫する無責任な書き込みが減ることを祈った。ネットニュース編集者の中川淳一郎さんもこう話す。

「ネットの書き込みにはリスクがつきまといます。“軽い気持ち”で加害者になってしまう可能性があることを、心得ておかなければならない。特に20代は、身近なことをネットに書くことに抵抗がありません。親は、それがどういうリスクを孕むのか、しっかり教える必要があります。また、不注意な書き込みは酔っているときや一瞬の怒りを抑えられないときにしがちなので、最後のボタンを押す前に一呼吸することを徹底してほしいです」

“人の噂も七十五日”は過去のこと。今や、ネット上に書き込まれた言葉は半永久的に残る。その事実を踏まえての行動が求められている。

※女性セブン2018年3月1日号

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