マネー

認知症になると金融機関の口座も凍結、親の株を売却するには?

 こういう場合、成年後見制度は向かない。家族が後見人に指名されていても、親の株を売るのは難しいからだ。まこと法律事務所の北村真一弁護士は次のように解説する。

「民法には、後見人は『財産の管理に関する事務』を行なうとしか書かれていませんが、成年後見制度は財産の保全を目的としており、任意後見人である家族が親の保有株を売買することを、後見監督人が認めないはずです。勝手にやってしまうと後見人の解任理由にもなりうる」

 後見制度では親の保有株は“塩漬け”になるのだ。

 一方、親が認知症になる前に「家族信託」を契約していれば、株の売買は不可能ではない。

「家族信託は信託法で、受託者(子供)が資産を『管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する』と定めている。子供が親から有価証券の信託を受け、株の売買ができる契約を交わしていれば、保有株の売却だけでなく、売ったお金で子供が新たに株を買って運用することもできます。リスクの低い運用であれば、損が出ても受託者の責任を問われることはないでしょう」(同前)

 とはいえ、株式相場が不安定な現在の状況下では、認知症になる前に、親に株取引を手じまいしてもらう方が家族は安心できるというものだろう。

※週刊ポスト2019年2月8日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。