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令和の年金改悪 まずは「繰り下げ幅拡大」から始まる

75歳受給で「ゆとりある老後生活」は可能か?

75歳受給で「ゆとりある老後生活」は可能か?

 繰り下げの「推奨キャンペーン」も始まった。日本年金機構は今年から、年金受給が始まる約250万人に送付する年金請求書に、〈受給開始を遅らせるほど、受け取れる年金は増えていきます〉との説明が入ったリーフレットを同封する。「繰り下げは得だ」と強調する内容だ。

 だが、甘い囁きに騙されてはいけない。図は税理士でファイナンシャル・プランナーの犬山忠宏氏の協力で、月額16万円(年192万円)の年金を65歳から受け取るAさんと、本来の年金額は同じでも75歳繰り下げ受給(84%割り増しで計算)を選択したBさんの各年齢までの「年金の手取り総額」を比較したものだ。犬山氏が語る。

「年金月額の額面だけを比べると75歳繰り下げが大変得に見えますが、受給額が増えると年金から天引きされる税金や社会保険料も増える。差し引いた手取額を比べると、80歳時点でも繰り下げしなかったAさんの方が1200万円以上多い。75歳受給のBさんが追いつくのは90歳になります」

 国民に繰り下げを選ばせることで、支払う年金額は増えても、税・保険料をがっぽり徴収できるから国は得をするのである。

※週刊ポスト2019年5月3・10日号

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